最新記事

ロシア

催涙スプレー、ナイフ、ハンマーで父親殺害 ロシア美人3姉妹は父にレイプされPTSDだった

2019年7月12日(金)16時35分

7月11日、父親の殺人容疑で裁判にかけられているロシア人の3姉妹に同情論が巻き起こっている。写真はモスクワ市内の裁判所に出廷した被告の姉妹ら。提供写真(2019年 ロイター)

父親の殺人容疑で裁判にかけられているロシア人の3姉妹に同情論が巻き起こっている。

3姉妹は父親の睡眠中、催涙スプレー、ナイフ、ハンマーを使い襲った。捜査では、姉妹は父親から何年にもわたって身体的・性的虐待を受けていたことが判明している。

ロシアの法制度の不備も指摘されている。

法律家でDV防止専門家、アリョナ・ポポバ氏は「レイプ犯の父親と一緒に暮らしている間、少女たちが身を置いた状況は、とても身近で恐ろしいものだ。少女たちが身を守ろうと決意したため、関心を持たれている」と話す。

多くのロシア人は、DVを受けた女性に対する保護が手薄になりつつあると考えている。

欧州人権裁判所は9日、別のDV事件でロシア当局が被害者を保護しなかったと結論付けた。この被害者の女性は、元恋人からストーカー行為を受けた挙句、誘拐され暴行を受けた。

ロシアでは2017年、一部のDV行為が刑事罰の対象から外された。改正法では、家族を殴って出血や打撲を負わせた場合、繰り返さなければ最高でも罰金刑で済む。

父親を殺害した3姉妹の事件を巡っては、刑事罰の回避を求める23万人超の署名が寄せられた。

ロシアの活動家、ダリア・ポルドバ氏は「今回の事件はすべての女性に関係している。多くの女性がDVにさらされている。男性はいまだに女性を家庭用品と考えている」と語る。

3姉妹の弁護士によると、近所の住人らが父親の暴行を警察に何度も通報したが、刑事訴追は行われなかったという。

モスクワ警察とロシア捜査当局のコメントは得られていない。

弁護士によると、3姉妹は事件当時、心的外傷後ストレス障害に苦しんでいた。

[12日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

20240514issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年5月14日号(5月8日発売)は「岸田のホンネ」特集。金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口……岸田文雄首相が本誌単独取材で語った「転換点の日本」

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

アングル:ミャンマー内戦、国軍と少数民族武装勢力が

ビジネス

「クオンツの帝王」ジェームズ・シモンズ氏が死去、8

ワールド

イスラエル、米製兵器「国際法に反する状況で使用」=

ワールド

米中高官、中国の過剰生産巡り協議 太陽光パネルや石
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岸田のホンネ
特集:岸田のホンネ
2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 2

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 3

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加支援で供与の可能性

  • 4

    過去30年、乗客の荷物を1つも紛失したことがない奇跡…

  • 5

    「少なくとも10年の禁固刑は覚悟すべき」「大谷はカ…

  • 6

    中国のホテルで「麻酔」を打たれ、体を「ギプスで固…

  • 7

    この夏流行?新型コロナウイルスの変異ウイルス「FLi…

  • 8

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 9

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 10

    礼拝中の牧師を真正面から「銃撃」した男を逮捕...そ…

  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 3

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 6

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 7

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...…

  • 8

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 9

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 10

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中