最新記事

日本社会

高齢ドライバー急増で灯る日本全国の危険信号

2019年5月15日(水)17時10分
舞田敏彦(教育社会学者)

これから高齢ドライバーはますます増えるので、この数値は上昇する。幼児100人につき高齢ドライバーは何人になるのか? 2030年の都道府県別数値を算出し、2018年の地図と並べてみると変化の大きさがあらわになる<図1>。2030年の幼児人口は将来推計値を使い、高齢ドライバー数は<表1>の運転免許保有率を適用して推計した。

maita190515-chart02.jpg

現在の後期高齢者の免許保有率が変わらないとした場合の予測が、2030年では多くの県で高齢ドライバー数が幼児人口の倍以上になる。超高齢社会が抱える問題の一端を見て取れる。

この頃には、自動ブレーキや自動運転車もかなり普及しているだろう。医学の進歩により、高齢者の認知症を予防する特効薬も開発されているかもしれない。しかしそれまで悠長に待つわけにはいかない。一定年齢に達したら免許を返納すべきという提案もよくなされる。免許返納を促すため、自動車の維持費(税金、保険料)を高くすることも考えられる。

交通の便が悪い地域ではこういう強硬策は難しいが、運転を認めるにしても一定の条件は付けるべきだろう(走行距離の制限など)。現在は「シェア」の時代だが、個人が高齢者の移動をサポートしてもいい。昨年1月10日の朝日新聞では、岐阜県の山村に移住した男性が、自家用車で高齢者の送迎をする取り組みが紹介されている。個人でもこういう活動はできる。行政は、こうした志のある活動を後押しするべきだ。

<資料:警察庁『運転免許統計』
    総務省『人口推計年報』
    国立社会保障・人口問題研究所『将来推計人口』(2018年3月)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエル軍、ラファ空爆 住民に避難要請の数時間後

ビジネス

ユーロ圏総合PMI、4月も50超え1年ぶり高水準 

ビジネス

独サービスPMI、4月53.2に上昇 受注好調で6

ワールド

ロシア、軍事演習で戦術核兵器の使用練習へ 西側の挑
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが...... 今も厳しい差別、雇用許可制20年目の韓国

  • 2

    翼が生えた「天使」のような形に、トゲだらけの体表...奇妙な姿の超希少カスザメを発見、100年ぶり研究再開

  • 3

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 4

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 5

    「真の脅威」は中国の大きすぎる「その野心」

  • 6

    ウクライナがモスクワの空港で「放火」工作を実行す…

  • 7

    メーガン妃を熱心に売り込むヘンリー王子の「マネー…

  • 8

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 9

    こ、この顔は...コートニー・カーダシアンの息子、元…

  • 10

    単独取材:岸田首相、本誌に語ったGDP「4位転落」日…

  • 1

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 4

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 5

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 6

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 7

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 10

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中