最新記事

南米

ベネズエラ、支援物資搬入巡り国境で衝突し死者も トランプは「具体措置」発表へ

2019年2月25日(月)12時05分

南米ベネズエラの国境で、米国が送った食料や医薬品などの人道支援物資を積んだ車両がベネズエラに入ろうとしたが、マドゥロ政権を支持する治安部隊との間で衝突が発生した。写真はベネズエラと国境を接するブラジルのロライマ州パカライマで24日撮影(2019年 ロイター/Ricardo Moraes)

南米ベネズエラの国境で23日、米国が送った食料や医薬品などの人道支援物資を積んだ車両がベネズエラに入ろうとしたが、マドゥロ政権を支持する治安部隊との間で衝突が発生した。一方、米政権高官はペンス米副大統領がベネズエラ情勢への対応で具体的な措置を25日に発表すると明らかにした。

コロンビアとの国境では、物資搬入を試みた野党支持者らに対し、搬入を阻止しようとする治安部隊が催涙ガスやゴム弾を使用。車両はコロンビアの倉庫に戻った。

搬入されるのはベネズエラで緊急に必要とされる支援物資で、野党は治安部隊が搬入阻止を思いとどまると期待していた。しかしコロンビア当局によると治安部隊約60人が23日に離反したものの、国境での国家警備隊は態度を変化させていない。ブラジルの軍当局者は24日、ベネズエラの国家警備隊の2人が23日夜に離反したと述べた。

ベネズエラと国境を接するブラジルのロライマ州は、銃撃で治療を受けているベネズエラ人の数は18人に上り、全員が重体だと明らかにした。

ベネズエラの犯罪監視団体は、ブラジルとの国境付近で3人の死亡が確認され、全土での負傷者は少なくとも295人に上るとした。

野党指導者のグアイド国会議長は、マドゥロ大統領の失脚に向けて「すべての選択肢」を視野に入れるよう国際社会に訴えた。大半の西側諸国はグアイド氏を国家元首と認めている。

トランプ米大統領は過去に、ベネズエラへの軍事介入は「一つの選択肢」だと発言している。ただグアイド氏は23日はこの発言には言及しなかった。

コロンビアの首都ボゴタでは25日にベネズエラ情勢を協議する会合が予定されており、ペンス副大統領も出席する。米政権高官は24日、ペンス氏が「具体的な措置」と「明確な行動」を発表すると述べたが、詳細には言及しなかった。

ブラジル外務省は声明で「国際社会、特にグアイド氏を暫定大統領とまだ認めていない国に対し、ベネズエラ解放への取り組みに加わるよう求める」とした。コロンビアのドゥケ大統領はツイッターで、23日に「野蛮な行為」があったと批判。25日の会合で「ベネズエラの独裁政権に対する外交的な包囲攻撃を強める方法」を協議する方針を示した。

マドゥロ大統領は、野党による支援物資搬入の取り組みは米国が画策するクーデターの一環だと非難している。

[カラカス/ワシントン 24日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

20240514issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年5月14日号(5月8日発売)は「岸田のホンネ」特集。金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口……岸田文雄首相が本誌単独取材で語った「転換点の日本」

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中国高級EVのジーカー、米上場初日は約35%急騰

ワールド

トランプ氏、ヘイリー氏を副大統領候補に検討との報道

ビジネス

米石油・ガス掘削リグ稼働数、3週連続減少=ベーカー

ワールド

焦点:中国農村住民の過酷な老後、わずかな年金で死ぬ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岸田のホンネ
特集:岸田のホンネ
2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 3

    「終わりよければ全てよし」...日本の「締めくくりの文化」をジョージア人と分かち合った日

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    ウクライナの水上攻撃ドローン「マグラV5」がロシア…

  • 6

    横から見れば裸...英歌手のメットガラ衣装に「カーテ…

  • 7

    「未来の女王」ベルギー・エリザベート王女がハーバー…

  • 8

    「私は妊娠した」ヤリたいだけの男もたくさんいる「…

  • 9

    ブラッドレー歩兵戦闘車、ロシアT80戦車を撃ち抜く「…

  • 10

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 3

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 4

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 5

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 6

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 7

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 8

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加…

  • 9

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 10

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 7

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中