最新記事

韓国事情

韓国で快進撃を続けるユニクロ いっぽうアンチ旭日旗で不買運動も

2019年2月6日(水)11時50分
佐々木和義

ユニクロ明洞店 撮影:佐々木和義

<韓国でさらに成長を続けるユニクロ。いっぽうで広告に掲載されたおもちゃに旭日旗に似た絵柄があるとして、不買運動も......>

不況が続く韓国のファッション業界でユニクロが快進撃を続けている。

爆発的にヒットしたヒートテックに続いて、今冬はライトダウンベストが人気だ。フロアのほぼ全員がライトダウンベストを着て仕事をしているという日系企業は、まるで制服のようだと苦笑いする。

韓国ブランドが伸び悩む中、海外SPAブランドが参入し、市場の飽和でユニクロの成長も止まるだろうという数年前の業界の予測を打ち砕いた。機能性衣料に加えて、小規模な小売専門が多い市場でさまざまな商品群を選ぶことができるアクセス性もユニクロの成長を支えている(中央日報)。

ヒートテックが社会現象に

韓国金融監督院の電子公示システムによると、韓国でユニクロを運営するFRLコリアの2018年会計年度(2017年9月~2018年8月)は売上げが1兆3732億ウォン(約1374億円)、営業利益は2344億ウォンで、それぞれ前年比11%と33%の2桁成長を記録した。

SPA (製造小売)衣類世界1位のZARAは韓国内売上げが3549億ウォンにとどまっており、2位のH&Mも2386億ウォンである。韓国のファッション業界で1兆ウォンを超える企業は限られ、単一ブランドはユニクロしかない。

ユニクロの好調を支えている商品にヒートテックがある。日中も氷点下の真冬日が続く韓国の中高生の間で、2010年頃からアメリカブランドのノースフェイスが流行り出した。ノースフェイスを着ていない生徒はいじめに合い、盗んで捕まる中高生まで現れた。寒さ対策の主役が高価なノースフェイスからユニクロのヒートテックにとってかわるといじめはなくなり、一気に市場に広がった。

ヒートテックはよく知られているようにユニクロが東レと開発したテクノロジーウェアで、体から放出される水蒸気を熱エネルギーに変換する原理を活かした商品で2017年までに世界で10億枚が売れたといわれている。

韓国ブランドのBYCも2015年に大気中の赤外線を熱エネルギーに変える技術を取り入れたボディーヒートを発売して対抗し、ランジェリーブランドのビビアンは吸収発熱素材の生地を使った男性用下着セットのウォームフラッシュを、ビーナスはミラクルヒートを販売したが、生地が優れ価格も安いユニクロにはかなわないと関係者はため息をもらす(韓国経済新聞)。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

シンガポール航空機、乱気流で緊急着陸 乗客1人死亡

ビジネス

アストラゼネカ、30年までに売上高800億ドル 2

ビジネス

正のインフレ率での賃金・物価上昇、政策余地広がる=

ビジネス

IMF、英国の総選挙前減税に警鐘 成長予想は引き上
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:スマホ・アプリ健康術
特集:スマホ・アプリ健康術
2024年5月28日号(5/21発売)

健康長寿のカギはスマホとスマートウォッチにあり。アプリで食事・運動・体調を管理する方法

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    娘が「バイクで連れ去られる」動画を見て、父親は気を失った...家族が語ったハマスによる「拉致」被害

  • 3

    9年前と今で何も変わらない...ゼンデイヤの「卒アル写真」が拡散、高校生ばなれした「美しさ」だと話題に

  • 4

    服着てる? ブルックス・ネイダーの「ほぼ丸見え」ネ…

  • 5

    「目を閉じれば雨の音...」テントにたかる「害虫」の…

  • 6

    ベトナム「植民地解放」70年を鮮やかな民族衣装で祝…

  • 7

    高速鉄道熱に沸くアメリカ、先行する中国を追う──新…

  • 8

    中国・ロシアのスパイとして法廷に立つ「愛国者」──…

  • 9

    「韓国は詐欺大国」の事情とは

  • 10

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    娘が「バイクで連れ去られる」動画を見て、父親は気…

  • 5

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 6

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 7

    「隣のあの子」が「未来の王妃」へ...キャサリン妃の…

  • 8

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 9

    米誌映画担当、今年一番気に入った映画のシーンは『…

  • 10

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 7

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 8

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中