最新記事

SNS

不祥事でも株価暴落でも......競合SNSのないフェイスブックはしぶとい

FB'S STEEP VALUE LOSS

2018年8月2日(木)16時00分
エイプリル・グレーザー

ザッカ―バーグ率いるフェイスブックはデータ保護の強化を打ち出した(5月の開発者会議で) Stephen Lam-REUTERS

<個人情報の不適切な取り扱いで信用失墜――ビジネスモデルの修正を余儀なくされているが>

フェイスブックにとっては、泣きっ面に蜂といったところだ。7月25日、株式市場の取引終了後に行われた今年第2四半期の決算発表は、売上高とユーザー数の伸びが市場予想に届かず。売上高の伸びの鈍化は今年下半期も続くと、同社幹部はアナリストに語った。

これを受けて、同社の株価は時間外取引で一時24%の下落を記録し、時価総額は1000億ドル以上消失した。翌26日のニューヨーク証券市場ではやや値を戻したが、結局終値は前日比19%の大幅下落。上場企業としては1日で史上最大の時価総額の減少となった。

株価急落の原因が、過去2年間の重大な失策の連続にあることは間違いない。フェイスブックユーザーを狙ったロシアの大掛かりな「偽情報工作」は、今も続いている可能性がある。

陰謀論に基づくフェイクニュースの追放にも、同社は苦労している。与党・共和党の議員には「反保守バイアス」を非難され、国連はフェイスブックがミャンマー(ビルマ)の少数民族に対する暴力扇動の道具に使われていると指摘した。

最大の問題は、英選挙コンサルティング会社ケンブリッジ・アナリティカ(廃業)をめぐるスキャンダルの後始末だ。

今年3月、フェイスブックが最大8700万人分のユーザーのデータを適切に扱っていなかったことが明らかになると(データはその後ケンブリッジ・アナリティカが不正に入手)、世論と政治家は激怒。マーク・ザッカーバーグCEOは議会の公聴会で謝罪した。

同社は現在、複数の連邦機関の調査を受けている。連邦取引委員会(FTC)は、データを第三者と共有する場合は事前にユーザー本人の同意を得るという11年の和解内容に違反したかどうかを調査中。司法省と証券取引委員会(SEC)は、ユーザーデータの取り扱いに関する情報を適切かつ正確に公開していたかについて調べている。

おそらくフェイスブックにとって最も悩ましいのは、同社のビジネスモデルの中核となっている取引――便利で魅力的なサービスと引き換えに個人情報を渡すという取引について、人々が議論を始めたことだろう。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

セガサミー、米フォートレスに「シーガイア」売却

ビジネス

アップル、「iPad Pro」宣伝映像巡り謝罪 ネ

ワールド

クシュナー氏、トランプ氏支援者に電話攻勢 献金呼び

ビジネス

インド株式ミューチュアルファンド、4月の資金流入は
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岸田のホンネ
特集:岸田のホンネ
2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必要な「プライベートジェット三昧」に非難の嵐

  • 2

    休養学の医学博士が解説「お風呂・温泉の健康術」楽しく疲れをとる方法

  • 3

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 4

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 5

    「少なくとも10年の禁固刑は覚悟すべき」「大谷はカ…

  • 6

    上半身裸の女性バックダンサーと「がっつりキス」...…

  • 7

    ロシア軍兵舎の不条理大量殺人、士気低下の果ての狂気

  • 8

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 9

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...…

  • 10

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加…

  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 3

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS攻撃「直撃の瞬間」映像をウクライナ側が公開

  • 4

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 5

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 6

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...…

  • 7

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 8

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 9

    「自然は残酷だ...」動物園でクマがカモの親子を捕食…

  • 10

    翼が生えた「天使」のような形に、トゲだらけの体表.…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中