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米朝首脳会談

中国激怒──米朝首脳会談中止

2018年5月25日(金)12時30分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

6.それなのに、このタイミングで米朝首脳会談の延期ではなく、中止を宣言した上に、北朝鮮への制裁をこれまでになく高めていくとまで表明したのは、国際社会におけるアメリカの信用を著しく失墜させるものである。

7.これは正に、イラン核合意離脱というアメリカの言動と同じで、国際社会は最早アメリカを信用しなくなるだろう。

8.ただいくらか幸いなことは、北朝鮮は中朝首脳会談と南北首脳会談を通して、中国および韓国との信頼関係を回復しており、世界は北朝鮮の別の側面を発見したことだろう。それにより北朝鮮は国際社会に立ち戻る地ならしをしたものとみなす。

9.米朝の敵意は、半島情勢の新たな突出した要素を成り得るかもしれない。しかし我々は、米朝が敵対を継続させず、最悪の方向へ向かうことを避ける努力を続けてほしいと切望する。

10.非核化の目標を掲げて、その実行に着手し始めた北朝鮮に対し、中国は関係を改善し、友好的な勢いを発展させていくつもりだ。韓国も、このようやく訪れた融和の形勢を継続させ、アメリカが北朝鮮に対する極限的な軍事的圧力を高めないよう、努力することを望む。

11.情緒的に言い放つのは一時的な痛快感をもたらすかもしれないが、その結果は計り知れないほど危険だ。関係各国が冷静に行動することを望む。

以上が、5月24日23:56における環球時報の社評だ。

なお、5月21日のコラム<「北の急変は中国の影響」なのか?――トランプ発言を検証する(後編)>で取材した元中国政府高官は、24日夜半の取材に対して、

「ほら見ろ!北朝鮮が怖れていたのは、このことだよ。これはまさに、核武装を全て放棄させた後に体制を崩壊され血まみれになって惨殺されたリビアのカダフィ大佐と類似の流れじゃないか。金正恩は、アメリカのこのやり方を警戒して、アメリカを信頼することがなかなか出来なかった。それを証明するようなことをトランプはやるべきじゃない。北東アジア情勢に責任を取るべきだ」

と、これもまた、激しく怒りをぶつけてきた。

25日00:02、環球時報が専門家の解説_アメリカの負けか

25日00:02、環球時報は専門家の見解を掲載した。タイトルは<トランプの米朝首脳会談取り消しは、アメリカがより多く負けたか>

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