最新記事

資金洗浄

ラトビアの銀行部門、大手銀の北朝鮮関与疑惑・中銀総裁逮捕で大揺れ

2018年2月20日(火)10時11分

2月19日、欧州中央銀行(ECB)は19日、ラトビア銀行業界3位のABLV銀行による全ての支払いを停止したと発表した。同行が資金洗浄(マネーロンダリング)に関与したとされているため。写真はABLV銀行のロゴ。ラトビアの首都リガで18日撮影(2018年 ロイター/Ints Kalnins)

欧州中央銀行(ECB)は19日、ラトビア銀行業界3位のABLV銀行による全ての支払いを停止したと発表した。同行が資金洗浄(マネーロンダリング)に関与したとされているため。

ラトビアではこれに先立つ17日、 欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのリムシェービッチ中銀総裁が賄賂を要求した疑いで逮捕されている。当局は、総裁の逮捕はABLV銀の件とは無関係としている。総裁は勾留期限が切れた19日、釈放された。

ECBは「ここ数日、ABLV銀行の財務状態は急速に悪化している」とする声明を発表。

米財務省は先週、ABLV銀行が顧客による北朝鮮との商取引を容認し、国連の制裁に違反したとして同行に制裁を科すよう求めていた。

米財務省の連邦犯罪取り締まりネットワーク(FCEN)は2月13日付の声明で、「ABLV銀は資金洗浄を商慣行の柱としていた」と指摘。疑惑を持たれている同行の活動の一部は北朝鮮の弾道ミサイル計画と関係があるとの見方を示し、銀行幹部がこうした活動を隠滅(いんぺい)するためにラトビア当局者に賄賂を渡していた疑いもあるとした。

ABLV銀は米当局が指摘した嫌疑は根拠がなく、誤った情報に基づくものだと主張。副最高経営責任者(CEO)、バデイムス・レインフェルズ氏は記者会見で「ABLV銀はいかなる違法行為も行っていない。制裁措置に対する違反はなかった」と断言した。

ABLV銀は米財務省による制裁勧告を受けて預金総額の約22%に当たる6億ユーロの預金が引き出されたとし、ラトビア中銀に一時的な流動性支援を要請。ラトビア中銀は同行に対し9750万ユーロの資金を供給することで合意したが、資金供給の詳細は今後協議する必要があり、ABLV銀は現時点ではまだ資金を受け取っていない。

ABLV銀は、十分な流動性と資本を保有しているため政府による救済は求めておらず、一時的な流動性支援を要請したにすぎないとしている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ジョージア「スパイ法案」、大統領が拒否権発動

ビジネス

必要なら利上げも、インフレは今年改善なく=ボウマン

ワールド

台湾の頼次期総統、20日の就任式で中国との「現状維

ワールド

イスラエル軍、ガザ北部で攻勢強化 米大統領補佐官が
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバいのか!?

  • 3

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイジェリアの少年」...経験した偏見と苦難、そして現在の夢

  • 4

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 5

    時速160キロで走行...制御失ったテスラが宙を舞い、4…

  • 6

    チャールズ英国王、自身の「不気味」な肖像画を見た…

  • 7

    日本とはどこが違う? 韓国ドラマのオリジナルサウン…

  • 8

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 9

    英供与車両から巨大な黒煙...ロシアのドローンが「貴…

  • 10

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 9

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 10

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中