女性に自慰を見せつける男性心理をセックスセラピストに聞く
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<ニューズウィーク日本版2017年12月5日号は「セクハラは#MeTooで滅ぶのか」特集。「#MeToo」を合言葉にしたセクハラ告発が世界に拡大中だが、なぜ男性は女性に対する性的虐待を止められないのか。「告発」最新事情や各国への広がり、男性心理も分析したこの特集より>
ハリウッドの大物映画プロデューサー、ハービー・ワインスティーンのセクシュアル・ハラスメント(性的嫌がらせ)問題は、各界の大物を次々と巻き込む一大スキャンダルに発展した。被害女性による告発の波は、ケビン・スペイシーやダスティン・ホフマンといった名優にも飛び火。政界でも現職上院議員やジョージ・ブッシュ元大統領がやり玉に挙げられた。
なかでも最も嫌な気分にさせられたワインスティーンのセクハラの1つは、女性に自慰を見せつける行為だ。TVジャーナリストのローレン・シバンの告発によると、ワインスティーンはレストランで彼女にキスを迫って拒否されると、「立って見てろ」と言って自慰を始め、近くの鉢植えに精液をぶちまけた。
もちろん、この種の性的倒錯はハリウッドだけの話ではない。地下鉄の車内や市街地の路上では毎日、女性の目の前で性器を露出する男たちが現れる。
なぜ男性はこうした行動に出るのか。ロサンゼルスの「健全なセックス・センター」で臨床ディレクターを務めるセックスセラピストのアレクサンドラ・ケイトハキスにジャーナリストのアンジェリーナ・チャーピンが話を聞いた。
――自慰の見せつけは、身体的接触や言葉を伴わない性的暴力の1つ。この行為はなぜ、性的な捕食者(プレデター)に好まれるのか?
強い露出癖を持つ人間は、意図的に被害者にショックを与えようとする。理由は、怒っているから。この行為は女性に対する復讐だ。この種の男性は、女性が最も脅威に感じる体の部位を見せつけることで、「性的敵意」または「性的怒り」を獲物にぶつけている。
彼らの強い怒りの原因は幼少期の性的虐待にある。例えば、母親から感情的な虐待を受けていたり、母親が虐待癖のある父親から守ってくれなかったり。一部の男性は成長すると、性的行動を通じて怒りを女性にぶつけるようになる。彼らはそれ以外に感情の処理方法を知らない。
――女性を物理的に暴行せずに目の前で自慰をする理由は?
彼らは自分をレイプ魔と思いたくない、あるいはそのように見られたくないのかもしれない。自慰行為をするだけなら、誰も暴行していないと自分に言い聞かせることができる。
――背後にある心理的動機は?
自分の力を実感できること。彼らは獲物を追い詰めることで、ある種の満足感を得ている。この行為の背後には、極めて原始的で子供じみた本能的衝動もある。「僕を見て」と叫ぶのとほとんど同じだ。
奇妙に聞こえるかもしれないが、「自分は求められている」と感じている可能性もある。「この女は目の前にいて、こっちを見てるんだから、俺が欲しいんだ」と感じているのかもしれない。同時に、その女性が怯え、恥辱を感じているという事実が、彼らに自分の力を実感させ、性的興奮を刺激する。
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