最新記事

体罰

子供を叩かないで! 体罰の影響を科学的に研究 

2017年11月15日(水)18時45分
松丸さとみ

sjenner13-iStock

53カ国で体罰完全禁止。日本は?

「しつけ」の名の下で子供を叩くという行為について、大学教授がこのほど、「体罰は子供に悪影響を及ぼすと科学が証明している」との記事を発表した。

カナダのマニトバ大学のトレイシー・O・アフィフィ准教授とオタワ大学のエリーサ・ロマノ教授が、学術ニュースサイト「ザ・カンバセーション」に寄稿した。

この記事では、しつけで子供を叩くことを「平手」で子供の「お尻」を叩くことと定義している。非営利団体「子どもに対するあらゆる体罰を終わらせるグローバル・イニシアチブ」によると現在、世界では53カ国で子供への体罰があらゆる場面で法的に禁止されている。さらに55の国が、体罰の完全禁止に取り組む意志があることを示したという。しかしそれでも、叩くと言う行為が、しつけの一環として世界中で行われているらしい。

「子どもに対するあらゆる体罰を終わらせるグローバル・イニシアチブ」のウェブサイトには、体罰の法的な扱い方を色分けした世界地図が掲載されているが、日本は「一定の状況では禁止されている」と分類されている。これは、日本では学校での体罰は学校教育法第11条で禁止されているものの、家庭や託児所、児童養護施設などでの体罰が法律で禁止されていないためだ。

matumaru1115a.jpg

「体罰が良いとした研究結果はない」

教授らは体罰の是非をめぐる議論は体罰が「必要かつ効果的」とする意見と「子供に有害で子供の人権を侵害する」とに分かれ、これまで熱く繰り広げられてきたと指摘。しかし科学的な研究を根拠に、体罰は子供に有害なだけだという立場を取っている。

カナダの医学誌「カナディアン・メディカル・アソシエーション・ジャーナル」(CMAJ)に2012年に発表された研究結果に触れ、「叩くことが子供に良いと示した研究結果はない」と指摘している。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

米5月住宅建設業者指数45に低下、1月以来の低水準

ビジネス

米企業在庫、3月は0.1%減 市場予想に一致

ワールド

シンガポール、20年ぶりに新首相就任 

ワールド

米、ウクライナに20億ドルの追加軍事支援 防衛事業
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 2

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史も「韻」を踏む

  • 3

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダブルの「大合唱」

  • 4

    それでもインドは中国に勝てない...国内企業の投資意…

  • 5

    マーク・ザッカーバーグ氏インタビュー「なぜAIを無…

  • 6

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 7

    奇跡の成長に取り残された、韓国「貧困高齢者」の苦悩

  • 8

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    中国のホテルで「麻酔」を打たれ、体を「ギプスで固…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 6

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 7

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 8

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中