米国企業で初、従業員の体内へのマイクロチップの埋め込みを実施
Nigel Treblin-REUTERS
<米ウィスコンシン州の自動販売機メーカーが、米国企業として初めて、従業員に体内へのマイクロチップの埋め込みを実施する>
マイクロチップを手に埋め込んだ従業員が、手をかざすだけで、オフィスの出入り口を解錠したり、パソコンにログインしたり、社内の自動販売機でジュースを購入したりする。まるでSF映画のようなオフィスシーンが、いよいよ現実のものとなりつつあるようだ。
50名以上の従業員がマイクロチップの埋め込みに同意
米ウィスコンシン州の自動販売機メーカー「スリー・スクウェア・マーケット」は、スウェーデンの生体認証センサー専門企業「バイオハックス・インターナショナル」との提携のもと、米国企業として初めて、従業員を対象に、体内へのマイクロチップの埋め込みを2017年8月1日から実施する。
これは従業員の任意で実施されるもので、最高経営責任者(CEO)を務めるトッド・ウェストビー氏のほか、50名以上の従業員がマイクロチップの埋め込みに同意した。
注射器を使い、個人情報が保存された米粒くらいのRFIDチップを右手の親指と人差し指の間の皮下に埋め込むと、オフィスのドアやパソコン、コピー機、自動販売機などに手をかざすだけで、非接触型ICカードのように、近距離無線通信で対象物の情報を読み取る仕組みとなっている。
「スリー・スクウェア・マーケット」では、従業員の身体へのマイクロチップの埋め込みにあたり、従業員への利便性の提供をその目的として強調する一方、情報セキュリティや、従業員のプライバシー、健康影響などに十分配慮している旨を説明している。
このマイクロチップは2004年にアメリカ食品医薬品局(FDA)が認可したもので、身体に埋め込まれた後も注射器で簡単に取り出すことができるほか、GPS機能は非搭載で、他者に追跡されることはないという。また、チップ内のデータは暗号化されているそうだ。
簡単にハッキングされる可能性がある
しかし、企業が従業員の身体にマイクロチップを埋め込むことについては、懸念を示す声が少なくない。米カーネギーメロン大学のアレッサンドロ・アクイスティ教授は、ニューヨーク・タイムズ紙の記事において、「企業側は『チップは暗号化されており、安全だ』と主張するが、"暗号化"の定義は非常に曖昧で、本当に安全なものもあれば、簡単にハッキングできるものも含まれている可能性がある」と指摘している。