最新記事

インタビュー

「グローバル化は終焉、日本はEUに加盟せよ」水野和夫教授

2017年7月24日(月)15時51分
長岡義博(本誌編集長)

――「一帯一路」は中国が自分を救うための戦略だ、過剰生産を解消するためのプロジェクトだ、と著書で指摘されています。中国経済をハードランディングで崩壊させていいのか、という問題だとも思うのですが、もしそれが起きたらショックはリーマン危機の比ではない。ただ、中国経済を救うと非民主的な中国が今後も続いてしまう、というジレンマがある。

中国経済が危機に陥った時、それを救える国はありません。1000兆円規模のGDPがある中国を、500兆円規模の日本が救済しようとしても無理。ASEANプラス日中韓で連携する時の中国とは、ひょっとしたら分裂した後の中国なのかもしれません。

――日本人の中には安易な「中国崩壊期待論」があります。89年のベルリンの壁崩壊後、「やっかいな社会主義」は数年で消え去った。それと同様に、「やっかいな中国」がある日突然消え去ってくれないか、という願望ですが、一方でこれほど大きくなった中国が崩壊するリスクは大き過ぎます。

日本企業は、中国に進出するなら慎重になったほうがいいと思う。世界の上場企業が保有する現金預金は12兆ドル(日本円で1350兆円)。これは使い道のないお金なのですが、もし世界が「中国は有望だ」と感じていたら、この中の相当部分が企業の中国進出に使われているはず。世界の経営者はもはや中国を魅力的だと思っていない。

――アメリカについてうかがいます。トランプ当選が必然なら、トランプは当然再選する、と考えますか?

トランプが再選するか、あるいは、トランプでは物足りないとアメリカの中間層が判断すれば、右派か左派かはともかく「もっと過激なトランプ」が登場するでしょう。中間層の痛みを理解できないヒラリー・クリントン的な政治家が当選することはもうないと思います。

※インタビュー後編:「日本に移民は不要、人口減少を恐れるな」水野和夫教授

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガリニューアル!
 ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米・イランが間接協議、域内情勢のエスカレーション回

ワールド

ベトナム共産党、国家主席にラム公安相指名 国会議長

ワールド

サウジ皇太子と米大統領補佐官、二国間協定やガザ問題

ワールド

ジョージア「スパイ法案」、大統領が拒否権発動
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバいのか!?

  • 3

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイジェリアの少年」...経験した偏見と苦難、そして現在の夢

  • 4

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 5

    「隣のあの子」が「未来の王妃」へ...キャサリン妃の…

  • 6

    時速160キロで走行...制御失ったテスラが宙を舞い、4…

  • 7

    日本とはどこが違う? 韓国ドラマのオリジナルサウン…

  • 8

    チャールズ英国王、自身の「不気味」な肖像画を見た…

  • 9

    「裸に安全ピンだけ」の衝撃...マイリー・サイラスの…

  • 10

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 8

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 9

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 10

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中