最新記事

宇宙

宇宙からのメッセージ!? 11光年先の惑星から謎の信号

2017年7月20日(木)12時30分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

forplayday-iStock

<プエルトリコで観測されたパルス信号の送り主は宇宙か、それとも......>

11光年離れた赤色矮星から謎の信号が発信されている――。発見した科学者によると「きわめて特異」なパルス信号で、近辺の星から同様の信号は観察されていない。

発見したのは、アメリカのアレシボ天文台(プエルトリコ)の研究チーム。今年4、5月に7つの星を観測したところ、おとめ座の方向にある小型の恒星「ロス128」だけ不思議な電波信号を発していた。プエルトリコ大学アレシボ校の惑星居住可能性研究所に所属する研究者のアベル・メンデスは、「非常に独特な信号が存在しているのを認識した」と説明した。

考えられるのは3つの説

この信号についてNewsweek英語版は、現時点で考えられる3つの説を紹介している。1.太陽フレアが引き起こすⅡ型電波バーストに似た放射電磁波 2.「ロス128」付近にある別の天体が発する放射電磁波 3.高軌道衛星から発せられるもの、という可能性がある。

しかしながら、メンデスは3つの説を「それぞれ問題がある」と指摘。そのうえでこう言っている。「発信元が宇宙人ではないか、というよくある仮説は、可能性リストの下のほうにある」。

通常は、データ分析をすれば宇宙からのものか、人工物から発生する微弱な電波等に起因する「ローカル干渉」かは、わかるという。メンデスも「簡単に見分けがつくから、大抵は謎にならない。でも今回はどちらとも捉えられるもので、判断できない」と述べている。

【参考記事】宇宙国家「アスガルディア」構想が始動:軌道上から地球を防衛、国民も募集中
【参考記事】人類共通の目標に大きな一歩、NASAが地球と似た惑星を7つ発見

単なるメッセージ騒動か

宇宙からのメッセ―ジを巡る騒動はこれまでもあった。1998年、オーストラリアのパークス天文台が捉えた謎の異常信号の発信元はなかなか特定できず、宇宙人の存在に期待を膨らませるような報道もあった。そして17年後、ついに明らかになった送り主の正体は、遠く離れた星ではなく、施設内の台所にある電子レンジだったというエピソードを英テレグラフが伝えている。

かたや最近では、英デイリーメール紙が4月3日付けの記事で、シドニー大学所有のモロングロ天文台の合成望遠鏡が捉えた謎の電波を解析した結果、ローカル干渉によるものではないと報じた。

来週、謎は深まる?

今回の謎の信号の発信元についてメンデスは、週内か来週はじめにも回答を出す考えを示している。「できるだけ早く発表したい」と本誌に述べており、何らかの答えが出ることに注目が集まる。

そして、その先の可能性についても言及している。「発信元が天文学的事象とローカル干渉のどちらか見分けがつけば、2つ目の謎が浮かんでくる。発信元は、なぜそのような信号を出しているのか、という謎だ」

天文学的事象だったとしても、「その答えを見つけることは難しい。これまでにないケースだからだ」と、メンデスは言う。

【参考記事】多剤耐性菌「MRSA」をロケットで打ち上げへ:宇宙で突然変異を実験
【参考記事】NASA火星の大発見にも「陰謀」を疑うアメリカ人

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガリニューアル!
ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

ECB、5会合連続で利下げ 政策の制約度は低下

ビジネス

米人員削減、2月は245%増 連邦政府職員の解雇が

ワールド

トランプ政権、イラン産原油タンカーの海上検査を検討

ビジネス

焦点:セブン、株主還元で株価浮上狙う 本質的な価値
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:進化し続ける天才ピアニスト 角野隼斗
特集:進化し続ける天才ピアニスト 角野隼斗
2025年3月11日号(3/ 4発売)

ジャンルと時空を超えて世界を熱狂させる新時代ピアニストの「軌跡」を追う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 2
    「コメが消えた」の大間違い...「買い占め」ではない、コメ不足の本当の原因とは?
  • 3
    著名投資家ウォーレン・バフェット、関税は「戦争行為」「消費増税」に等しいとトランプを批判
  • 4
    イーロン・マスクの急所を突け!最大ダメージを与え…
  • 5
    「浅い」主張ばかり...伊藤詩織の映画『Black Box Di…
  • 6
    強まる警戒感、アメリカ経済「急失速」の正しい読み…
  • 7
    定住人口ベースでは分からない、東京23区のリアルな…
  • 8
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 9
    アメリカで牛肉さらに値上がりか...原因はトランプ政…
  • 10
    テスラ大炎上...戻らぬオーナー「悲劇の理由」
  • 1
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    イーロン・マスクへの反発から、DOGEで働く匿名の天才技術者たちの身元を暴露する「Doxxing」が始まった
  • 4
    アメリカで牛肉さらに値上がりか...原因はトランプ政…
  • 5
    ニンジンが糖尿病の「予防と治療」に効果ある可能性…
  • 6
    「浅い」主張ばかり...伊藤詩織の映画『Black Box Di…
  • 7
    イーロン・マスクのDOGEからグーグルやアマゾン出身…
  • 8
    イーロン・マスクの急所を突け!最大ダメージを与え…
  • 9
    「絶対に太る!」7つの食事習慣、 なぜダイエットに…
  • 10
    「コメが消えた」の大間違い...「買い占め」ではない…
  • 1
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 2
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 8
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 9
    細胞を若返らせるカギが発見される...日本の研究チー…
  • 10
    イーロン・マスクへの反発から、DOGEで働く匿名の天…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中