最新記事

キャリア

即興劇の女優が教えるクリエイティビティの5原則

2017年6月8日(木)17時36分
キャシー・サリット ※編集・企画:情報工場

原則4:ゴミくずから創造する

同僚が意地の悪いメールの返事をよこしてきた。新しいクライアントへのプレゼンの途中で、最後のスライドに載せたクライアントの企業ロゴが、一昨日にプレゼンした別の企業のものになっていることに気がついた。とてつもなく優秀な部下を昇進させようとしたら、グーグルに転職してしまった......。

私たちは日々、こんな山ほどのゴミくず(crap)と、何とか折り合いをつけながら仕事をしている。イライラして椅子をぶん投げるのはやめよう。ゴミくずは創造のためのインスピレーションを与えてくれる可能性があるのだから。

確かに「創造」と言った。私は本気だ:
今度仕事でイラついたり、頭にくることが起きたら、そのことについて詩を書いたり、マンガに描いてみよう。歌を作ってもいい。

「うわー!」と言う:
典型的なゴミくずに出くわしたら、こんなふうに叫んでみよう。「うわー! これは素晴らしい贈り物だ! これをもとに新しいことを考えられる」。意地汚いメールを連発する前に、一息つこう。電話をかけるか、相手のいる部署まで言って、こう言うのだ。「これまでのやり取りはNGテイクだ。さあ、対話の"テイク2"を始めよう」。ゴミくずのようなメールのやり取りを、"演技"を変えるチャンスにするのだ。

【参考記事】「アイデアは既存の要素の新しい組み合わせ」とヤングは言った

原則5:即興で人生を演じる

こんなふうに考えたことはないだろうか。私たちは常に即興で人生を演じているのだ、と。ただし、脚本を作る、あるいは自然に脚本ができることはある。小さなことでは、通勤のルート。もっと大事な問題としては、自分のリーダーシップのスタイルなどだ。こうしたことは、最初の一度だけは即興で行わなければならないが、すぐに「常にある」ものとなる。

だが、ここであえて脚本を無視して即興を続けたらどうだろう。そうすれば、あなたは、自分は誰で、何をすべきか、それをどのようにすべきか、どのように感じ、ものを見るのか、などを常に発見し続けることができる。私が即興演技(インプロ)をする時に決めていることを紹介しよう。

「はい。そして」と言う:
これは、あなたと、あなたの即興演技のパートナーとの関係を作る上での大原則だ。あなたは相手の言葉を受け入れ、それに何か建設的なことを付け加えなければならない。「はい、しかし」とも「いいえ、しかし」とも言ってはならない。来週1週間、いくつかの対話の中でこれを試してみてほしい。

他人を良く見えるようにする:
即興演技の伝道者であるデル・クローズは、「私たちがお互いを天才で、詩人で、芸術家であるかのように扱えば、それらになれるチャンスが訪れる」と語っている。あなたは、他人を重要で価値があるとみなす言葉や行動を選ぶべきだ。まずは誰かが何かを言った時に、「あなたが言ったことの中で私が好きなのは~」とか、「○○さんの言ったことで重要だと思うのは~」などと口にすることから始めてみよう。

変化球を歓迎する:
即興演技者は、意外性や異常性、「ヘンテコ」が大好きだ。それは閃光のようにクリエイティビティを輝かせる。それらを歓迎しよう。変化球は、考え方を既定の路線から外れさせ、クリエイティビティをもたらしてくれる。だから、あなた自身も変化球を投げていこう。

洞窟を探検する:
近代即興劇の創始者と言われるキース・ジョンストンは、「"イエス"と言う者は、冒険を楽しむことができるだろう。"ノー"と言う者は、安全圏を確保することしかできない」と著書に書いている。人生やビジネスのあらゆる場面において即興演技を続けるならば、あなたの前にはいつでも、次に何をすべきかの選択肢が存在する。安全で心地よい選択肢もある。だが、馴染みがなく、異常で、恐怖さえ感じさせる選択肢もある。後者に「イエス」と言おう。

[執筆者]
キャシー・サリット Cathy Salit
リーダー養成プログラムの提供や企業の組織改革サポートを手掛けるパフォーマンス・オブ・ア・ライフタイム社CEOで、歌手、女優、即興劇チームの一員としても活躍。著書に『壁を破る力 パフォーマンス・ブレークスルー』(邦訳・徳間書店)がある。

© 情報工場
johokojologo150.jpg



※当記事は「Dialogue Q2 2017」からの転載記事です

dialoguelogo200.jpg





情報工場
2005年創業。厳選した書籍のハイライトを3000字にまとめて配信する書籍ダイジェストサービス「SERENDIP(セレンディップ)」を提供。国内の書籍だけではなく、エグゼクティブ向け教育機関で世界一と評されるDuke Corporate Educationが発行するビジネス誌『Dialogue Review』や、まだ日本で出版されていない欧米・アジアなどの海外で話題の書籍もいち早く日本語のダイジェストにして配信。上場企業の経営層・管理職を中心に約6万人のビジネスパーソンが利用中。 http://www.joho-kojo.com/top

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

バイデン大統領、31万人に学生ローン免除 美術学校

ワールド

米名門UCLAでパレスチナ支持派と親イスラエル派衝

ビジネス

英シェル、中国の電力市場から撤退 高収益事業に注力

ワールド

中国大型連休、根強い節約志向 初日は移動急増
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 4

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 5

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 6

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 7

    ポーランド政府の呼び出しをロシア大使が無視、ミサ…

  • 8

    なぜ女性の「ボディヘア」はいまだタブーなのか?...…

  • 9

    衆院3補選の結果が示す日本のデモクラシーの危機

  • 10

    米中逆転は遠のいた?──2021年にアメリカの76%に達し…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 8

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 9

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 7

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 8

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中