最新記事

暗殺事件

マレーシア政府、北朝鮮大使に国外追放を宣告

2017年3月5日(日)12時36分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

2月20日大使館前で記者会見をしたカン・チョル北朝鮮大使 REUTERS/Athit Perawongmetha

<金正男暗殺事件を巡り、対立が続いているマレーシア政府と北朝鮮。容疑者として北朝鮮大使館職員の取り調べを求めていたマレーシア側は、北朝鮮側がなんら対応する気配がないことからついに康哲駐マレーシア大使を国外追放すると発表した>

マレーシア政府は4日、金正男暗殺事件についてマレーシア警察の捜査を批判し、さらに「マレーシアが韓国など敵対勢力と野合して、北朝鮮を窮地に追い込んでいる」という発言をしたマレーシア駐在の康哲(以下、カン・チョル)北朝鮮大使を追放することにした。6日午後18時までに国外退去を求めているという。聯合ニュースなど韓国メディアが伝えた。

アニファ外相は声明で「カン大使を今日の午後6時まで外務省に召喚し、外務省高官と面談するようにと伝えたが、大使はもちろん、大使館の関係者の誰もこれに応じなかった」と明らかにした。

このためマレーシア外務省はカン大使を"外交上好ましくない人物(persona non grata)"に指定し北朝鮮大使館側に通告。4日午後6時から48時間以内に、マレーシアを離れなければならなくなった。

声明は「先月28日、北朝鮮側代表団と会談し、マレーシア政府を批判したカン大使の発言に対する書面での謝罪を要求し、当日夜10時まで答弁がなければ相応する措置を取るとしたが、以降ほぼ4日が経っても謝罪が行われていない」とカン大使を追放するに至った経緯を明らかにした。

さらに声明では「今回の措置は、マレーシア政府が推進する北朝鮮との関係見直しの一環で、両国間のビザ免除協定破棄に続いて出された。これはマレーシアが(北朝鮮の)不法活動に利用された可能性があるという政府の憂慮を反映したものである」と付け加えた。これは今後さらなる外交関係の見直し=国交断絶なども含め、北朝鮮に追加的な措置があり得ることを暗示したものと見られている。

金正男暗殺事件を巡り、徐々に対立が激しくなってきたマレーシアと北朝鮮だが、ついに駐在大使の追放という抜き差しならないところまで悪化した。両国関係はもはや国交断絶もやむなしという状況になりつつある。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

神田財務官、介入有無コメントせず 過度な変動「看過

ワールド

タイ内閣改造、財務相に前証取会長 外相は辞任

ワールド

中国主席、仏・セルビア・ハンガリー訪問へ 5年ぶり

ビジネス

米エリオット、住友商事に数百億円規模の出資=BBG
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われた、史上初の「ドッグファイト」動画を米軍が公開

  • 4

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 5

    目の前の子の「お尻」に...! 真剣なバレエの練習中…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    メーガン妃の「限定いちごジャム」を贈られた「問題…

  • 8

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 9

    美女モデルの人魚姫風「貝殻ドレス」、お腹の部分に…

  • 10

    ロシア軍「Mi8ヘリコプター」にウクライナ軍HIMARSが…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 8

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 9

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 10

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中