最新記事

医療

製薬大手各社が3年間で5000万ドル投資 貧困国の慢性疾患治療へ

2017年1月18日(水)17時28分

1月18日、ファイザーやメルク、ノバルティス、ロシュ、サノフィ、グラクソ・スミスクライン(GSK)など22の製薬大手各社は、貧困国における非感染性の慢性疾患を治療するために、今後3年間で5000万ドルを投資すると発表した。写真はブダペストで2011年11月撮影(2017年 ロイター/Laszlo Balogh)

 ファイザーやメルク、ノバルティス、ロシュ、サノフィ、グラクソ・スミスクライン(GSK)など22の製薬大手各社は18日、貧困国における非感染性の慢性疾患を治療するために、今後3年間で5000万ドルを投資すると発表した。世界銀行が支援するプロジェクトに投じる。

 貧困国ではこれまで、感染病に対する治療が行われてきたが、今日では、西洋のライフスタイルが浸透したことにより、がんや糖尿病、心臓や肺の疾患などによる死亡が増加している。

 世界保健機関(WHO)によれば、このような非感染性疾患(NCDs)は全世界の死亡原因の約70%を占め、うち4分の3は低中所得層の国々で起こっている。

 ロシュのシュワン最高経営責任者(CEO)は、製薬各社はすでに新興国に向けて優遇価格を実施しているが、コストが唯一の障害と述べた。

 アフリカやアジア、ラテンアメリカの各国は、最新の新薬開発の恩恵を享受するために、医療制度の改善も必要としている。

 シュワン氏はロイターに対し「病院のインフラを整えるためにやることはたくさんある。最新の研究施設がなければ、現代のがん治療薬を投与することはできない」と指摘。「我々は協力体制を構築するつもりだ」と述べた。

 がん治療は目下の重点項目であり、製薬大手各社は国際対がん連合(UICC)と共に世界の一部の都市で試験的に新たな診断法や治療法を実施している。

[ダボス 18日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

台湾の頼次期総統、20日の就任式で中国との「現状維

ワールド

イスラエル軍、ガザ北部で攻勢強化 米大統領補佐官が

ワールド

アングル:トランプ氏陣営、本選敗北に備え「異議申し

ビジネス

日本製鉄副会長が来週訪米、USスチール買収で働きか
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた異常」...「極めて重要な発見」とは?

  • 3

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバいのか!?

  • 4

    存在するはずのない系外惑星「ハルラ」をめぐる謎、…

  • 5

    「円安を憂う声」は早晩消えていく

  • 6

    チャールズ英国王、自身の「不気味」な肖像画を見た…

  • 7

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 8

    中国のホテルで「麻酔」を打たれ、体を「ギプスで固…

  • 9

    時速160キロで走行...制御失ったテスラが宙を舞い、4…

  • 10

    英供与車両から巨大な黒煙...ロシアのドローンが「貴…

  • 1

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 2

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 5

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 9

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 10

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中