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リーダーシップ

リーダーは「データ」より「目的意識」を重視せよ

2016年11月15日(火)18時41分
スダンシュ・パルスル、マイケル・チャベス ※編集・企画:情報工場

 このミーティングをきっかけに、退職者は減っていったという。チームは、仕事の目的意識を見つけられたのだ。それが仕事を血の通ったものにした。

 目的意識は、まさに組織の存在理由であるともいえる。目的意識こそが、組織が世界とつながり、長期間繁栄を続けていけるかどうかを決定づけるのだ。しかし、ほとんどの組織は、そもそも初めから目的意識を欠いているか、忘れてしまっているかのどちらかなのが現状だ。ならば、埋もれている目的意識を掘り起こさなくてはならない。

 その「見えなくなっている目的意識」を表に出すために、リーダーは人の話や、人の行為によって起こった現象、人のものの見方やアイデアなどを集める必要がある。誰かに目的意識を定義してもらうのではなく、集めた材料を使って間接的にアプローチするのだ。

 集まったところで、最初のステージに立つことができる。このステージでは2つの「対話」が求められる。1つめは"心を動かす"対話。これは組織に所属する人々が組織に対してどのような感情を抱いているかを調べるためのものだ。そして2つめは"意義を見出す"対話で、組織とそれに関連するストーリーを抽出する。

 この2つの対話を経てはじめて、次の"力を引き出す"対話に移ることができる。これは、実際にどのようにすれば目的意識をもってもらえるかの答えを見つけるための対話だ。このステージの対話は戦略的になる。全員がはっきりと目的意識に目を向け、自分が何をすればよいのかを理解させるためのものだからだ。

[執筆者]
スダンシュ・パルスル Sudhanshu Palsule
変革型リーダーシップ、複雑性とリーダーシップなどのテーマにおける第一人者である思想家・研究者。

マイケル・チャベス Michael Chavez
デューク・コーポレート・エデュケーションCEO。

© 情報工場
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※当記事は「Dialogue Q3 2016」からの転載記事です

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情報工場
2005年創業。厳選した書籍のハイライトを3000字にまとめて配信する書籍ダイジェストサービス「SERENDIP(セレンディップ)」を提供。国内の書籍だけではなく、エグゼクティブ向け教育機関で世界一と評されるDuke Corporate Educationが発行するビジネス誌『Dialogue Review』や、まだ日本で出版されていない欧米・アジアなどの海外で話題の書籍もいち早く日本語のダイジェストにして配信。上場企業の経営層・管理職を中心に約6万人のビジネスパーソンが利用中。 http://www.joho-kojo.com/top

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