最新記事

欧州難民危機

ドイツ到着の難民9割がドイツ語話せず 就職率わずか13%どまり

2016年11月16日(水)18時45分

11月15日、調査で、ドイツに到着した移民・難民のうち就職できている人は約13%に当たる8人に1人にとどまっていることが分かった。写真は職業訓練を受けるシリア難民の青年。ケルンで3日撮影(2016年 ロイター/Wolfgang Rattay)

 15日に発表された調査で、ドイツに到着した移民・難民のうち就職できている人は約13%に当たる8人に1人にとどまっていることが分かった。

 調査は、ドイツ連邦移民・難民庁と労働市場・職業研究所(IAB)、およびドイツ経済研究所(DIW)が共同実施。難民らの雇用状況や教育上の背景、価値観などを調べた。

 その結果、2015年から今年1月にかけてドイツに到着した難民のうち、就職している人は全体の13%で、多くはまだ亡命申請の審査を受けている段階にあり、労働市場へのアクセスが限られていることが分かった。

 IABのヘルベルト・ブリュッカー氏は、経験では、ドイツ到着後5年目以降に就職する移民の割合は50%前後、10年目以降では60%以上、15年目以降では70%以上となると指摘。ただ最近到着している人たちは働くことを目的に来ているわけではなく、他の集団に比べて働く態勢が整っていないと述べた。大量流入で職をめぐる競争が激しくなっている面もあるという。

 成人の難民のうち、ドイツに来る前に学校や職業訓練校または大学で10年以上過ごした人の割合は58%だった(ドイツ国民ではこの割合は88%)。大学や職業訓練校に所属した人は3分の1以下、小学校にのみ通った人が10人に1人、学校に通った経験がない人が9%いた。

 18─65歳の難民のうち、約4分の3がドイツ到着前に職務に従事した経験があると答え、13%がマネジメント経験があった。

 到着時にドイツ語が話せなかった人は全体の90%前後に達し、雇用の主要な弊害となっている。

 調査は今年6─10月、2013年1月1日から16年1月31日の期間にドイツに到着した18歳以上の難民2349人を対象に実施した。

[ベルリン 15日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

日経平均は続伸で寄り付く、米株高を好感 半導体株上

ワールド

米下院議長ら、トランプ氏の公判傍聴 「選挙妨害」と

ワールド

ウクライナ軍、ハリコフ州2地域で部隊後退 ロシアが

ビジネス

訂正(13日配信記事)-〔アングル〕米株式市場、反
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少子化の本当の理由【アニメで解説】

  • 2

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダブルの「大合唱」

  • 3

    アメリカからの武器援助を勘定に入れていない?プーチンの危険なハルキウ攻勢

  • 4

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    英供与車両から巨大な黒煙...ロシアのドローンが「貴…

  • 7

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 8

    ロシア国営企業の「赤字が止まらない」...20%も買い…

  • 9

    ユーロビジョン決勝、イスラエル歌手の登場に生中継…

  • 10

    「ゼレンスキー暗殺計画」はプーチンへの「贈り物」…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 6

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 7

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 8

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 9

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 10

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中