好調ヒラリーを襲う財団疑惑
Aaron Bernstein-REUTERS
<クリントン一家で運営する慈善団体との「利益相反」が問題となっている。このスキャンダルはヒラリーが大統領になってもくすぶり続ける>(最近のヒラリーの支持率は揺るぎないが)
AP通信は8月、米民主党の大統領候補ヒラリー・クリントンが国務長官在任中に、クリントン財団の大口寄付者と面会を繰り返していたと報じた。
共和党はこの疑惑を、クリントンにホワイトハウスを任せられない証拠として取り上げ、一方の民主党は些細な問題としてやり過ごそうとしている。今も進行中の入り組んだスキャンダルを読み解いてみると――。
なぜ疑惑は起きたのか。
ヒラリーは支持率で大幅にリードしているが、まだ当選したわけではない。共和党はクリントン財団疑惑のようなスキャンダルがヒラリーへの信頼をゆっくりと損なわせ、支持率低下につながることを願っている。
最近公表されたヒラリーの国務長官在任中の文書は、クリントン財団と世界中にいるその大口寄付者について、そして両者の関係がヒラリーの国務長官としての仕事に影響を与えた可能性について、大きな懸念を引き起こし続ける。
この疑惑はヒラリーがホワイトハウスを目指す上で大きな問題であり、彼女が当選した場合には政権にとって無視できない問題になるだろう。
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クリントン財団の疑惑は前にも聞いた。済んだ話では?
ある意味ではそうだ。かなり前からクリントン財団は、ヒラリーの政敵やメディア、国民にとって関心の的だった。
09年、上院議員だったヒラリーの国務長官指名が濃厚になると、反対陣営はクリントン財団の存在が国務長官の仕事を全うする上で「利益相反」を生むと指摘。クリントン財団はそれまで内密にしていた寄付者のリストを公表することに合意したが、そこには新興実業家や外国の王族・政府が含まれていた。
こうした懸念が昨年、ヒラリーの大統領選出馬が確定した際に再び浮上した。ヒラリーと元大統領の夫ビルが、財団に大口寄付をした多くの団体で講演を行い、高額の報酬を受け取っていたという新たな問題も持ち上がった。
クリントン夫妻と後援者の緊密な関係は、保守系ジャーナリストのピーター・シュワイツァーが昨年出版した『クリントン・キャッシュ』(邦訳・LUFTメディアコミュニケーション)でも大きなテーマになっていた。この本はヒラリーの疑惑について決定的な証拠を提示しているわけではない。だが彼の著書がきっかけとなって、メディアがクリントン財団に関心を向けたことは確かだ。