中国の養豚家が規制強化で大量廃業、主要輸出国に好機到来か
今年の豚肉輸入は最大100万トンを超えそうな中国、日本が「買い負け」の可能性も
養豚業者の悲鳴が聞こえる 3月31日、中国の養豚業界は規制強化などで小規模農家が大量に廃業に追い込まれたため、豚肉価格が持ち直しても生産能力がなかなか回復しない。このため豚肉は品不足から年内いっぱい価格が高止まりし、輸入が増大する見通しだ。写真は山東省で昨年4月撮影(2016年 ロイター)
中国の養豚業界は規制強化などで小規模農家が大量に廃業に追い込まれたため、豚肉価格が持ち直しても生産能力がなかなか回復しない。このため豚肉は品不足から年内いっぱい価格が高止まりし、輸入が増大する見通しだ。
中国は豚肉の生産と消費が世界最大で、消費量は全世界の供給量の半分程度に達する。業界筋によると、今年の豚肉輸入は最大100万トンを超え、昨年の77万7000トンから最低でも28%増えそうだという。中国はこれとは別に豚耳や豚足などを豚肉とほぼ同量輸入している。
ドイツ、米国、ブラジルなど豚肉の主要輸出国には追い風が吹きそうだ。
中国の養豚産業は年間生産量5400万トンの約半分を占める小規模農家が製品価格に敏感に反応しがちなため、好況と不況を定期的に繰り返す。しかし昨年末に価格が反発したにもかかわらず、飼育頭数は増えそうもない。これは農家に増産態勢が整っていないためだ。
農務省の統計によると、昨年は小規模の業者を中心に約500万の養豚業者が廃業し、これに伴って繁殖用雌豚の飼育頭数が大幅に落ち込んだ。
苦境の養豚業者
養豚業者は新たな環境規制により都市部からの移転を余儀なくされ、高額な廃棄物処理装置の設置義務付けなどで直撃を受けた。
農業省の統計によると、2月の繁殖用雌豚の飼育頭数は前年比7.9%減の3760万頭と30カ月連続で減少し、過去最低を記録した。
農業省は先週、2012年と13年に均衡していた養豚業者の収支が14年と15年に1頭当たり100元(15.36ドル)の赤字に転落し、繁殖用雌豚の食肉処理が続いていると発表した。
北京オリエント・アグリビジネス・コンサルタントのアナリスト、Xiong Kuan氏は「養豚業者は飼育頭数を増やしたいのだが、繁殖用雌豚の数が減り、飼育豚の供給量が足りない」と話す。
今年初めに飼育豚の間で感染症がまん延したことも供給減につながったという。