最新記事

中国

南沙諸島への民間機試験飛行、域内の緊張悪化は不可避か

民間機の人工島への試験飛行を成功させた中国は、遠からず軍用機も常駐させるか

2016年1月5日(火)17時13分

1月5日、中国が南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島の人工島に建設した滑走路に航空機を着陸させたことについて、海外当局者やアナリストは、中国が同地域で建設を進めている施設が予定通り完成していることを示し、今後、軍機の飛行が行われることは避けられないと指摘した。写真は中国が人工島を造成したスプラトリー諸島スビ礁の衛星写真。昨年9月撮影。提供写真(2016年 ロイター/CSIS Asia Maritime Transparency Initiative/DigitalGlobe)

 中国が南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島の人工島に建設した滑走路に航空機を着陸させたことについて、海外当局者やアナリストは、中国が同地域で建設を進めている施設が予定通り完成していることを示し、今後、軍機の飛行が行われることは避けられないと指摘した。

 中国外務省の当局者は2日、民間航空機が試験飛行を行い、南沙諸島の人工島に着陸したことを確認した。中国が同地域で滑走路を使用したのは初めて。

 オーストラリア国立大学戦略防衛研究所の客員研究員、Leszek Buszynski氏は、中国軍機の人工島着陸は「避けられなくなった」と指摘。複数のフライトを試した後の次のステップとして、戦闘機を飛行させ、常時駐機させる可能性が高いと述べた。

 東南アジア研究所(シンガポール)の南シナ海専門家、イアン・ストーリー氏は、人工島の施設が使用可能になるのに合わせ、「軍機や民間航空機に対して中国が発する警告が増える」とし、「こうした動きは防空識別圏(ADIZ)設定の前段階、または事実上のADIZとなり、緊張が高まることが予想される」との考えを示した。

  

[香港/北京 5日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2015トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ノババックス、サノフィとコロナワクチンのライセンス

ビジネス

中国高級EVのジーカー、米上場初日は約35%急騰

ワールド

トランプ氏、ヘイリー氏を副大統領候補に検討との報道

ビジネス

米石油・ガス掘削リグ稼働数、3週連続減少=ベーカー
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岸田のホンネ
特集:岸田のホンネ
2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 2

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 3

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 4

    横から見れば裸...英歌手のメットガラ衣装に「カーテ…

  • 5

    ブラッドレー歩兵戦闘車、ロシアT80戦車を撃ち抜く「…

  • 6

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 7

    アメリカでなぜか人気急上昇中のメーガン妃...「ネト…

  • 8

    「終わりよければ全てよし」...日本の「締めくくりの…

  • 9

    地下室の排水口の中に、無数の触手を蠢かせる「謎の…

  • 10

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 3

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 4

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 5

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 6

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 7

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 8

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 9

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 10

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中