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台湾が中国の不沈空母に? 2つの中国が尖閣を狙う

2015年11月19日(木)16時00分
楊海英(本誌コラムニスト)

 中国は国際裁判所の仲裁は認めないと強硬論を唱えながらも、実は台湾に眠る資料をひそかに狙っている。第二次大戦後に日本が南方から撤退した際、中華民国が南シナ海の領有権を主張したことがある。古くからの権利を示すという資料は国共内戦で台湾に持ち去られた。来年の総統選挙で台湾独立派の民進党政権に代わる前に何とか同じ「中華」同士で情報共有できないかと、習は馬の国民党政権にウインクを送っている。

 アメリカにとって、台湾は中国をにらむ「不沈空母」であり続けたが、馬総統在任7年間の対中傾斜政策を見ていると、いつ中国側に寝返るかも不安材料だった。馬も「統一された大中華」の夢を思い描き、その版図には日本の尖閣諸島も含まれている。尖閣諸島の領有権については誰よりも法的に詳しいと自任する馬の主張は日米同盟にも影響を及ぼしかねないと、アメリカは不信感を抱く。不安が的中したのが今回の中台会談だ。馬は国際社会が主張する南シナ海の自由航行よりも、「中華の内海」化を選んだ。

「中台は1つの家族」と習が一方的に親縁関係を強調しても、台湾の民衆は冷めた視線で会談を見ている。ただ、「2つの中国」が「空想上の中華」の利益を優先しようとして実際に動きだすと、国際社会も戦略を練り直さなければならなくなる。

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