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東南アジアシンガポール、11日総選挙で一党支配を強化?
与党が政権を失うことはあり得ないが、その支配に野党が風穴を開けられるかが焦点
支持率に陰り 早期に体制を固めるため総選挙を決めたリー Soe Zeya Tun-REUTERS
シンガポール当局は先週、議会を解散して今月11日に総選挙を実施すると発表した。リー・シェンロン首相はフェイスブックで「独立50周年の節目に実施されるこの選挙では、次の50年のビジョンが問われる」と宣言。「有権者は5年間シンガポールを率いる政権を選ぶが、それは15~20年、ひいては今後50年のシンガポールの針路を決める選択ともなる」と述べた。
総選挙の実施期限は17年1月だったが、前倒し実施は以前から予想されていた。
リー率いる与党・人民行動党(PAP)は、65年のマレーシアからの分離独立以来、一貫して政権を担ってきた。このタイミングでの選挙はPAPに有利になるとみられている。独立50周年の祝賀ムードでナショナリズムの機運が高まるなかで、投票日を迎えることになるからだ。
国民の不満は生活費や車が高いことぐらい
今年3月に死去した建国の父リー・クワンユー元首相(現首相の父親)をしのぶ人々の思いも、PAPにプラスに働きそうだ。おまけに、世界同時株安で経済への先行き不安が広がっていることも、長期の実績を誇る与党への支持につながる。
一方で、PAPの長期支配には陰りも。シンガポールの調査会社ブラックボックスの調べでは、政権への満足度は相変わらず高いものの、低下傾向にある。特に、生活費が高くつくことや車の購入に法外な費用が掛かることに不満を持つ人は半数以上に上る。
野党がこうした不満をどこまで吸い上げられるか、若年層の票の行方がカギになりそうだ。
もっとも、PAPが政権を失うことはまずあり得ない。野党の狙いは、PAPの一党支配に風穴を開けることだ。前回11年の総選挙では、PAPの得票率は史上最低の60%に低下。議会の87議席中81議席を維持したものの、野党に史上最多の6議席を奪われ、その後に実施された補欠選挙でも敗北を喫した。
野党・労働党のラウ・ティアキアン党首はさらに議席を積み上げようと先週、演説で有権者に決断を迫った。「今後もPAP頼みで行くのか、自国の将来を自分たちで決めるのか」
PAPは支持率低下の懸念を追い風で吹き飛ばし、事実上の「全権委任」を勝ち取る構えだ。
From thediplomat.com
[2015年9月 8日号掲載]