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韓国朴が韓国女性に愛されない理由
「女の味方」はポーズだけ?男女格差の解消に力を入れる見込みは薄く、保守的過ぎる政治に失望の声も
期待はずれ 朴が大統領に就任したこと自体が、女性にとって大きな前進だとの見方もあるが Lee Jin-man-Pool-Reuters
女性が大統領になれば、同国の根深い男女格差も少しはましになるのではないか――2月に朴槿恵(パク・クネ)が韓国初の女性大統領に就任した際、こうした期待が世界で高まった。
しかし実際には、朴が女性の地位向上を推進する見込みは薄い。「朴にはフェミニスト的な政策が何もない」とワシントン大学韓国学研究所のクラーク・ソレンソン所長は言う。
韓国は先進国の中でも特に男女格差が大きい。世界経済フォーラムの2012年版世界男女格差報告書では135カ国中108位。女性は男性より賃金が平均で39%少なく、注目される職業への進出度はかなり低い。
「韓国で男性のほうが高賃金なのは兵役義務があるからだと言われている」と済州道で英語教師をしている女性、イ・ジヒョン(39)は言う。「でも女性には妊娠という大仕事がある。育児もしなければならない。兵役義務は男性を優遇する理由にはならない」
イは男性優位の文化が変わることを望んでいるが、朴にはあまり期待していない。ほとんどの専門家も、朴はフェミニストとは正反対だと考えている。朴に対する政治的支持は、朴自身の業績というより親の七光の部分が大きい。
父親の故・朴正煕(パク・チョンヒ)元大統領は人権を弾圧した独裁者だったが、年配の韓国人にとっては高度経済成長の立役者。その娘の大統領就任は、新時代の幕開けではなく朴時代の再来と受け止められている。
「中身は男」という声も
朴自身も保守的な政策を掲げ、社会問題よりも、もっぱら地政学的安定と経済発展を重視してきた。現代韓国事情に詳しい米バッサー大学のムン・スンスク教授によれば、「朴には積極的に女性のリーダー的役割を果たしたとか、男女平等を奨励して社会的少数派の地位向上につながるような政策を支持したといった実績がない」
朴は側近にも女性を起用しておらず、閣僚級17人のうち女性の指名も2人だけと少ない。「女性を1人も閣僚に指名しないわけにはいかなかったからだ」とソレンソンは言う。「今は誰が大統領になっても女性をまったく指名しないわけにはいかない。それにしても2人というのは少ない」
昨秋の選挙運動中は違った。朴は女性の支持を獲得すべく、自分が女性であることを積極的にアピールしていた。託児所の増設などを約束したほか、(自身は独身だが)祖国を気遣う「母」を演じることもしばしばだった。候補者討論会では「朴はワーキングマザーや共働きの親の悩みに敏感だった。女性が何に悩んでいるか、本当に分かっていた」とソレンソンは言う。
女性が直面している問題に取り組む見込みは薄くても、朴が大統領に選ばれたこと自体が女性にはプラス、という声もある。「韓国が朴を国のトップに選んだこと自体、女性が出世できると認めた証拠」だと米ブルッキングズ研究所非常勤上級研究員の呉悦公丹(オ・ゴンダン)は言う。「朴を見て、自分も大統領になりたいと思う聡明な少女や女子学生が出てくるかもしれない」
だが多くの若い韓国人女性は朴の保守的な政治と、彼女が独裁者の娘であることを軽蔑している。韓国初の女性大統領の誕生は誇らしくても、それが朴では台無しというわけだ。「朴の中身は保守的な韓国人男性だと思う」とイは言う。「女性のことなんか少しも考えていない」
From GlobalPost.com特約
[2013年5月14日号掲載]