国際援助金減少で食糧難5800万人 国連世界食糧計画が警告

国連世界食糧計画(WFP)は、米国などの資金提供が滞る中、緊急の食糧援助資金が確保されない限り、世界で5800万人が極度の食糧不足に陥る危険があると警告した。昨年11月、スーダンで撮影(2025年 ロイター/ WFP/Abubakar Garelnabei/Handout via REUTERS/File Photo)
[ローマ 28日 ロイター] - 国連世界食糧計画(WFP)は28日、米国などの資金提供が滞る中、緊急の食糧援助資金が確保されない限り、世界で5800万人が極度の食糧不足に陥る危険があると警告した。今後数カ月、アフリカや中東、アジアなどでの緊急支援活動を継続するには24億9000万ドルが必要だという。
WFPは、2025年の支援金が前年比で40%減少しており、パレスチナ自治区ガザ、スーダン、シリア、コンゴなど世界で危機にある28地域で食糧供給事業が危機に直面していると説明した。
WFPの幹部ラニア・ダガッシュカマラ氏は「最も危機に瀕している地域を優先し、食糧配給の効果を最大限にするよう努めているものの、命に関わる資金不足の崖が近づいている」と強調した。
WFPによると、紛争や経済問題、気候変動によって深刻な食糧不安にさらされているのは世界で3億4300万人。25年はこのうち1億2300万人の支援を目指しているが、約半数の食糧支援ができなくなる恐れがあるという。
WFPのウェブサイトによると、3月24日までに受けた25年の資金は15億7000万ドルにとどまる。24年はWFPが求めた211億ドルに対し、提供された支援金は97億5000万ドルだった。
24年に44億5000万ドル拠出した米国は、25年は現時点でその10%を下回っている。防衛力増強に向けて対外援助を削減すると発表した英国なども前年の拠出額を下回って推移している。