最新記事

市場開放

外資小売参入でインド政界に大激震

政府の規制緩和で外国のスーパーやコンビニにも巨大市場が開放されたが、国内には大きな反発も

2012年10月26日(金)14時52分
トゥンク・バラダラジャン(本誌国際版編集長)

反ウォルマート インド各地でデモやストが発生(北部アラハバード近郊で) Jitendra Prakash-Reuters

 62年の設立から、米小売り大手ウォルマートは世界企業として華々しい歴史を築いてきた。ただそんなウォルマートがこれまで経験したことのない事態が、この先数週間で起きる可能性がある。一国の政権を崩壊させそうなのだ。

 インドのシン首相は9月中旬、議論が続いていた外資参入を含む大々的な経済改革の実施を決定。これによりウォルマートなど外国のスーパーが直接投資を行えるようになる。だがその発表で、経済改革に反対の姿勢を見せてきた連立政権の第2与党、草の根会議派は、連立を離脱。連立政権は崩壊の危機にさらされている。

 インド政界の反米感情は根深く、進出を計画しているウォルマートにその矛先が向けられている。「私たちの首相がアメリカをあがめるようになったのは悲劇だ」と、インド左派共産党の幹部シタラム・イェチュリーは言う。「(最大与党でシンの)国民会議派は国民を外国企業の奴隷にしたいようだ」

 小売業の分野で外国企業からの直接投資を受け入れるつもりはない、最後の最後まで反対するつもりだ──イェチュリーはそう息巻いている。

[2012年10月 3日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

UBSのAT1債、50億ドル相当が株式転換可能に 

ビジネス

ソフトバンクGの1―3月期純利益2310億円、2四

ビジネス

ソフトバンクGの1―3月期純利益2310億円、2四

ワールド

米中、14日に初のAI協議 「あらゆるリスク討議」
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岸田のホンネ
特集:岸田のホンネ
2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 2

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 3

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 4

    地下室の排水口の中に、無数の触手を蠢かせる「謎の…

  • 5

    年金だけに頼ると貧困ライン未満の生活に...進む少子…

  • 6

    ブラッドレー歩兵戦闘車、ロシアT80戦車を撃ち抜く「…

  • 7

    横から見れば裸...英歌手のメットガラ衣装に「カーテ…

  • 8

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 9

    アメリカでなぜか人気急上昇中のメーガン妃...「ネト…

  • 10

    「終わりよければ全てよし」...日本の「締めくくりの…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 4

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 5

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 6

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 7

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 8

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加…

  • 9

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中