最新記事

対テロ活動

「アラブの春」に凍るCIA

民主化運動で揺れる中東諸国の米諜報員はネットワークを失って窮地に立たされている

2011年6月22日(水)12時04分
クリストファー・ディッキー(中東総局長)

新しい国へ カイロのタハリール広場でムバラク退陣を求める市民(2月8日) Asmaa Waguih-Reuters

 ひどいなりに、昔は良かった。これが中東各国に潜むアメリカのスパイたちの正直な思いではないか。独裁者たちが健在だった時代には、怪しい奴を捕まえて彼らの国の警察に引き渡せば、いくらでも手荒な方法で尋問してくれた。独裁は悪だが、独裁者とは取引できた。

 ノスタルジアではない。実際に良かったのだ。今年に入って中東各地で起きた民主化運動がもたらす混乱に、多くの対テロ諜報員や専門家は危機感を抱いている。一方でアラブ世界により大きな自由と平等、安定が生まれる兆しは見えない。

「民主化だと喜ぶのはばかげている」と、数十年を対テロ活動にささげてきたある諜報員は言う。彼らの仕事はやりにくくなっただけだ。「何が入っているかも知らないで魔法の箱を開けてしまったようなもの。最悪の事態になりかねない」...本文続く

──ここから先は6月22日発売の『ニューズウィーク日本版』 2011年6月29日号をご覧ください。
<デジタル版マガストアでのご購入はこちら
<デジタル版Fujisan.co.jpでのご購入はこちら
<定期購読のお申し込みはこちら
 または書店、駅売店にてお求めください。

カバー特集は「崖っぷちのアメリカ」。中東の地殻変動で拠り所を失うCIAの苦悩の他にも、1400万人の失業を克服するためのビル・クリントン元大統領からの提言、期待はずれだったバラク・オバマ大統領に代わる男など、自信喪失に陥った超大国の運命を、多角的に探りました。

他にも
鬼才ガリアーノ、破滅の真相
■アップルの頭脳流出が始まった
■国境の町を蝕む北朝鮮ドラッグ、など
<最新号の目次はこちら

[2011年6月29日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米金融政策、十分に制約的でない可能性=ダラス連銀総

ビジネス

6月利下げへの過度な期待は「賢明でない」=英中銀ピ

ビジネス

グローバル株に資金流入、1カ月半ぶり大きさ=週間デ

ワールド

ロシア軍、ウクライナ北東部ハリコフ地域を攻撃 戦線
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岸田のホンネ
特集:岸田のホンネ
2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 2

    「少なくとも10年の禁固刑は覚悟すべき」「大谷はカネを取り戻せない」――水原一平の罪状認否を前に米大学教授が厳しい予測

  • 3

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加支援で供与の可能性

  • 4

    過去30年、乗客の荷物を1つも紛失したことがない奇跡…

  • 5

    中国のホテルで「麻酔」を打たれ、体を「ギプスで固…

  • 6

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 7

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 8

    休養学の医学博士が解説「お風呂・温泉の健康術」楽…

  • 9

    「一番マシ」な政党だったはずが...一党長期政権支配…

  • 10

    「妻の行動で国民に心配かけたことを謝罪」 韓国ユン…

  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 3

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 4

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 5

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 6

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...…

  • 7

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 10

    休養学の医学博士が解説「お風呂・温泉の健康術」楽…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中