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酔っぱらい大国イギリスの安酒追放作戦

2010年6月29日(火)14時43分
バリー・ニールド

お酒が安過ぎるのがどんちゃん騒ぎの原因? Jeff J. Mitchell-Reuters

 グラス片手にどんちゃん騒ぎし、時には意識を失うまで飲みまくる。「酒飲み大国イギリス」の存在感はヨーロッパの中でも特別だ。

 サッカーのワールドカップが始まって町には酔っぱらいがあふれているが、それとは別に、近頃のイギリス人の酒量は危機的レベルまで上昇しているとの調査結果が出た。国民保険サービス(NHS)の顧問機関である英国国立臨床研究所(NICE)によれば、イギリスでは年間8000人がアルコール関連の疾患で死亡し、その数は過去16年で倍増している。NHSにも年間27億謇の負担が掛かる。

 そこでNICEは、酒類の販売価格に下限を設けるよう提案。さらにお酒の広告禁止や、安い酒を買いだめするための欧州旅行の制限、NHS利用者が医師の診察を受ける際に飲酒習慣を必ず尋ねることも求めた。「現在の酒の価格はかつてないほど低い。健康被害や社会的損害に見合ったものになっていない」と、医療経済学者アン・ルドブルックは言う。

 人々の飲酒スピードを抑えるための対策は過去にも実施されてきたが、ことごとく失敗している。キャメロン新政権も価格の下限設定については懐疑的だが、原価割れでのアルコール販売の禁止や、酒に絡んだ犯罪を扱う警察権の強化などを重点施策として掲げる。

GlobalPost.com特約)

[2010年6月30日号掲載]

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