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イラン

補助金削減で革命が起きる?

アハマディネジャド大統領が突如「改革」に乗り出した訳

2009年12月15日(火)14時17分
ラーナ・フォルーハー(ビジネス担当)、ババク・デガンピシェ

 イランでガソリンや食品の価格を格安に抑えてきた政府の補助金が削減されるかもしれない。

 国内外の経済の専門家の多くは、過剰な消費を促す補助金制度は段階的に廃止すべきと考えている。驚くべきことに、先頭に立って補助金の見直しを推進しているのは経済手腕の怪しいアハマディネジャド大統領だ。

 アハマディネジャドは誤った経済政策で2桁のインフレを引き起こし、石油で得た資金は仲間内での分配で枯渇してしまった。

 補助金削減に熱意を見せているのは懐事情が苦しいせいだろう。核開発をめぐる欧米の圧力にイランが抵抗すれば、それだけ制裁は強まる。そうなれば補助金をばらまく余裕などなくなるだろうと米外交評議会のワリ・ナスルは言う。

 補助金削減で浮いた資金は自分の好きなように動かしたいというのがアハマディネジャドの望みだ。実はこの点が補助金削減を実施する上での大きなネックになっている。多くの政府関係者は、大統領が補助金以外の社会政策で国民の負担軽減を図ることなく、浮いた資金を私利私欲のために使うのではないかと危惧している。

 補助金を減らされた見返りが何もないのなら、国民も黙っていないだろう。

[2009年12月16日号掲載]

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