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失業者数は男性の4倍! パンデミックで女性はどれだけ損をしている?

A STAGGERING PRICE

2021年07月10日(土)14時59分
エミリー・ペック(ジャーナリスト)
仕事で苦しむ女性(イメージ画像)

2020年に離職したアメリカ人女性が被る経済的損失は8850億ドルに上る STATICNAK1983ーE+/GETTY IMAGES

<コロナ禍の離職や収入減は女性に偏っている。拡大する男女格差は経済成長を阻み女性の機会を奪い続ける>

アメリカでは毎日のように、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)からの回復を示す新しい兆しが伝えられている。しかし、この国の数百万人の女性にとって、新型コロナによる経済的打撃が終わる日は、来ないかもしれない。

マスクを外し、子供たちが学校に完全に戻った後も、オフィスが再開され、仕事に復帰して、生活が見た目は正常に戻った後も、一部の女性たちは経済的打撃の後遺症に悩まされ続けるだろう──おそらく彼女たちのキャリアを通じてずっと、さらには退職後も。

アメリカで現在雇用されている女性は、パンデミックが始まった頃より450万人少ない。女性が多く、かつ新型コロナの影響が特に大きかった業界でレイオフ(一時解雇)されたり、学校や保育施設に通えなくなった子供を自宅で世話するために、離職せざるを得なかった人々だ。

こうした女性の大半は、将来的にも収入が減る可能性が高い。働けない間は昇進できず、研修を受けられず、転職の機会もなかった。勤続年数を重ねることもできなかった。これらの要素は生涯にわたり低賃金の原因になる。その結果、退職後の社会保障の給付額が減って、貯蓄が生む収益も目減りする。

パンデミックで失った収入、将来得られるはずだった収入、さらには退職後の給付金の減少など、女性の経済的損失の連鎖が長期的にもたらし得るコストは、膨大なものになるだろう。

生涯賃金の減少が100万ドル以上の人も

シンクタンク「アメリカ進歩センター」のエコノミスト、マイケル・マドウィッツが本誌の依頼で行った分析によると、パンデミック前の賃金が中央値の4万7299ドルだった標準的な女性が2022年にフルタイムの仕事に復帰した場合、生涯賃金の減少は25万ドル以上になる。

24年まで復職できなければ、失う収入は60万ドル近くに達する見込みだ。

平均的な大学教育を受けた女性(賃金の中央値は6万2140ドル)の場合、生涯賃金の減少は2年間の離職で約34万5000ドル、5年間で約78万5000ドル。パンデミック前の賃金が10万ドル以上だった女性は、3年間の離職で100万ドル以上減る可能性もある。

マドウィッツの計算では、アメリカで2020年に離職した女性たちが2年間で被る経済的損失は総額8850億ドル。この数字はフェイスブックの創業者マーク・ザッカーバーグの純資産額の約7倍で、オランダのGDPをわずかに下回る。

「女性は職業人生の残りもずっと、パンデミックの代償の負担を強いられ続ける」と、マドウィッツは言う。

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