最新記事

音楽

新しい音楽を楽しめるのは30歳まで?

2018年6月15日(金)15時00分
モーゲンスタン陽子

「懐かしさ」などもよく耳にする理由だろう。青春時代に聴いた音楽にはたいていそれに伴う思い出があり、誰でも人一倍の愛着があるはずだ。音楽の「質」はどうだろうか。トロントのロック専門ステーションQ107のホストはDeezerの調査結果を受け、ブログで「ギターやドラムの音のない、大量生産された電子音の音楽」を好まない人が多いからではないかと指摘。

40代・50代のリスナーが多いステーションだが、コメント欄には、YouTubeや地元の音楽祭などで、大量生産ではない、素晴らしい音楽を聞かせる新しいバンドを見つける機会はいくらでもあるとの意見もみられる。30代で音楽の趣味が凝り固まってしまうとの意見には反対が多いようだ。

いつまでも音楽的にオープンでいるために

「昔の音楽の方がよかった」などと愚痴る「音楽老人」にならないためには、どうすればよいだろう。ガーディアンがいくつか提案をしている。

自分のプレイリストに飽きたなら、ストリーミング配信サービスやYouTubeで適当に曲を選んでみるか、友人にプレイリストを作ってもらってもいい。Kポップなど外国語の音楽も推薦している。

なかでも、好きなアーティストが影響を受けた音楽をさかのぼってみる、というのは名案に思われる。たとえば、イギリス出身の人気ロックバンドThe 1975は80年代の音楽やブライアン・イーノを聞いて育ち、ニューシングル『ギヴ・ユアセルフ・ア・トライ』の素早いリフは、ジョイ・ディヴィジョン(1979年)の『ディスオーダー』から派生している、という。

ほかに、「楽器を習うこと」は「音楽的冒険へのもう一つの入り口」と提案。たとえば、ドラムを叩くことでクライド・"ファンキー・ドラマー"・スタブルフィールド(ジェームズ・ブラウンのバックを務めた伝説的ドラマー)に行き着いたり、ピアノを習うことでショパンを演奏したりするようになるかもしれない。また、筆者はかつてオペラ嫌いだった自身の経験もあげ、嫌いな音楽をあえて聞いてみることもすすめている。  

新しい音楽を聞かない理由に「いろいろありすぎる」とあがっていたが、インターネットやストリーミングで異国の音楽や未知のジャンルなどをいとも簡単に発掘できる現代は逆に音楽の嗜好を深める絶好のチャンスだろう。昔の音楽ばかり聴いていてはもったいないかもしれない。


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米、新たな対ロシア制裁発表 中国企業を狙い撃ち

ビジネス

米地銀NYCB、向こう2年の利益見通しが予想大幅に

ビジネス

FRBの政策金利決定、大統領選の影響受けない=パウ

ビジネス

ドル一時153円まで4円超下落、介入観測広がる 日
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉起動

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    ポーランド政府の呼び出しをロシア大使が無視、ミサ…

  • 6

    米中逆転は遠のいた?──2021年にアメリカの76%に達し…

  • 7

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 8

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 9

    パレスチナ支持の学生運動を激化させた2つの要因

  • 10

    大卒でない人にはチャンスも与えられない...そんなア…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 8

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」…

  • 9

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 10

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中