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共和党こそ高齢者殺しの張本人

2009年9月2日(水)17時10分
ジェイコブ・ワイズバーグ(スレート・グループ編集主幹)

社会保障費の増大を抑えるため

 それにしてもなぜ共和党は老人を殺そうとするのか。高齢者には民主党支持者より共和党支持者が多い。08年の大統領選でも、共和党の大統領候補だったジョン・マケイン上院議員がオバマよりも多くの票を獲得できた唯一のグループが高齢者だった。

 問題は民主党が作った年金制度やメディケア(高齢者医療保険制度)のおかげで、高齢者には金がかかることだ。ライターのジョディー・T・アレンはかつて、共和党が「死の推進政策」をとる理由を次のように説明している。

 年金や医療など膨らみ続ける社会保障費をまかなうためには、給付金を減らすか増税するかしかない。そのどちらも受け入れたくない共和党は、第3の選択肢すなわち「寿命の抑制」に傾いている。減税はしたいが不人気な歳出削減はしたくない。それなら受給者の数を減らそうというわけだ。

 私はなにも高齢で富裕な読者を脅そうとしているわけではない。だが今後1年ほど、家族の集まりは今までになく緊張したものになるかもしれない。遺産の相続人たちが、座って話をしようと言い出しても驚いてはいけない。

 悪夢も見るかもしれない。あなたは病院のベッドに横になっていて、意識は朦朧としている。ベッドの横に立っている医師はマスクをしているが、どこかで見た顔のような気がする。ちょっと待て。あれは......グラスリー医師ではないか? そして注射器をもつあの人は......ペイリン看護師?

 そこであなたは汗ぐっしょりで目を覚ます。運がよければの話だが。

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