最新記事

教育

11歳で大学を卒業した天才・物理少年、夢は「不老不死を実現すること」

I’m 11 and I Have a BA

2021年8月18日(水)19時20分
ローラン・シモンズ(オランダ・アントワープ大学修士課程進学予定)
ローラン・シモンズ

周りからはすごいと言われるけれど、僕は流れに身を任せてきただけだ LYDIA SIMONS

<史上2番目に若くして学士号を取得したけれど、資格よりも本物の知識を得ることのほうがずっと重要だ>

幼い頃の記憶はあまりないけど、いとこのディランとよく遊んだことは覚えている。両親はオランダで3つの歯科医院を経営していて忙しかったから、9歳まではベルギーの祖父母の下で暮らしていた。

祖母はいつも両親に、僕が年齢のわりにとても賢いと言っていた。でも、両親は本気にしなかった。誰だって実の孫は特別だと思うから。

4歳でベルギーのオーステンデにある小学校に入学し、6歳で卒業した。当時受けたIQテストでは、測定可能な最も高いスコアが出たという。

高校の最初の1カ月は他の生徒と一緒に授業を受けたが、僕もクラスメイトもイライラした。みんなは僕がどんな問題にもすぐ答えるのが気に入らず、僕はそんなみんなが気に入らなかった。学校が個人授業をしてくれるようになってからは、いろんなことがうまく運び、8歳で卒業した。

大好きな物理や数学、化学の授業を受けられるから高校は好きだったが、それでも大学に行けると分かったときはホッとした。自分で選んだ教科を集中的に学べるからだ。

最初に入ったオランダの大学は2019年に中退して、翌年4月からアントワープ大学で物理学を学び始めた。コロナ禍のため大学に行くのは試験や実験のときだけだったから、他の学生と交流することはあまりなかった。

勉強を進めるうちに、特に量子物理学に興味を持つようになり、他の課程を全て中断して物理学に集中することにした。今年6月に物理学の学士号を取得し、11歳で「優等」の成績で大学を卒業した。

不死の研究で重要なのが物理学

自分が史上2番目に若くして学士号を取得したらしいことは知っているけれど、僕にとって資格を取ることは大した話ではない。本物の知識を得ることのほうが、はるかに重要だ。学士号を取得したのは、修士課程を始めるのに必要だったからだ。

僕が物理学を選んだのは、最終的な目標が不老不死を実現することだからだ。不死の研究において重要な分野の1つが物理学なのだが、ゴールへの道筋はまだ見えていない。

不老不死に関心を持ったきっかけは、祖父母が心臓病を患っていたことだ。そういう人たちを助けたいし、他の子供たちが祖父母を失わずに済むようにしたい。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

FRB窓口貸し出し、「悪評」抑えるルール整備を検討

ワールド

中ロは相互支援強化すべき、外相会談で王氏が訴え

ビジネス

FRB当局者、インフレ低下持続か「判断は尚早」 慎

ワールド

インタビュー:ウクライナ、同盟国の支援加速・直接関
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:スマホ・アプリ健康術
特集:スマホ・アプリ健康術
2024年5月28日号(5/21発売)

健康長寿のカギはスマホとスマートウォッチにあり。アプリで食事・運動・体調を管理する方法

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    娘が「バイクで連れ去られる」動画を見て、父親は気を失った...家族が語ったハマスによる「拉致」被害

  • 3

    「隣のあの子」が「未来の王妃」へ...キャサリン妃の「ロイヤル大変貌」が話題に

  • 4

    米誌映画担当、今年一番気に入った映画のシーンは『…

  • 5

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 6

    中国の文化人・エリート層が「自由と文化」を求め日…

  • 7

    ベトナム「植民地解放」70年を鮮やかな民族衣装で祝…

  • 8

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 9

    「親ロシア派」フィツォ首相の銃撃犯は「親ロシア派…

  • 10

    服着てる? ブルックス・ネイダーの「ほぼ丸見え」ネ…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 5

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 6

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 7

    「隣のあの子」が「未来の王妃」へ...キャサリン妃の…

  • 8

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 9

    娘が「バイクで連れ去られる」動画を見て、父親は気…

  • 10

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 4

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 7

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 8

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中