最新記事

若者

若者の現在と10年後の未来:消費行動編(前編)──所有から利用へ

2020年5月28日(木)11時20分
久我 尚子(ニッセイ基礎研究所)

一方、女性では「フリマアプリやリサイクルショップで、不要品を積極的に売りたい」(+12.2%pt)や「買い物をする時は、詳しい人に説明してもらいたい」(+7.7%pt)、「欲しいと思えるものとの出会いを求めて、インターネットをよく見る」(+7.6%pt)、「ものを買う時は、無名なメーカーより有名なメーカーのものを買う」(+7.5%pt)、「ものを買うことよりも、旅行やコンサート、イベントなど体験することにお金を使いたい」(+7.2%pt)、「いつも予定より多く買い物をしてしまう」・「買ったものでも、すぐ飽きてしまう」(いずれも+6.1%pt)で全体を5%pt以上上回る。

なお、若者について性別に見た傾向のうち、男性で見られるものは若い男性特有のものだが、女性で見られる「フリマアプリやリサイクルショップで、不要品を積極的に売りたい」や「ものを買うことよりも、旅行やコンサート、イベントなど体験することにお金を使いたい」、「いつも予定より多く買い物をしてしまう」は20~50歳代の女性全体でも見られる傾向である。よって、若い女性特有の傾向としては「買い物をする時は、詳しい人に説明してもらいたい」や「欲しいと思えるものとの出会いを求めて、インターネットをよく見る」、「ものを買う時は、無名なメーカーより有名なメーカーのものを買う」、「買ったものでも、すぐ飽きてしまう」となる。

Nissei200521_3.jpg

以上より、若者では消費行動において、消費者共通の土台として『長く使えるものを買う』『ポイントサービスの活用』『情報収集』『費用対効果の吟味』といった志向を持ちながらも、全体と比べると、『物を買って所有するよりも、サブスクやシェアを活用して、必要な時に必要な量だけ利用できれば良い』という『所有より利用』志向が高い。この所有から利用へという変化は、近年、消費者で見られている2ものだが、若者ほど強くあらわれている。

この背景には、若い世代ほど、(1)消費社会が成熟化し、モノがあふれる中で育ったためにモノの所有欲が弱いこと、(2)デジタルネイティブであり、サブスクやシェアなどのデジタルサービスの活用に長けていること、(3)経済不安が強いために無駄な消費を避けたいという意識が高いことがあげられる。

――――――――――
2 久我尚子「所有から利用へと変わる消費」、ニッセイ基礎研究所、基礎研レポート(2020/1/16)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米EV税控除、一部重要鉱物要件の導入2年延期

ワールド

S&P、トルコの格付け「B+」に引き上げ 政策の連

ビジネス

ドットチャート改善必要、市場との対話に不十分=シカ

ビジネス

NY連銀総裁、2%物価目標「極めて重要」 サマーズ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 2

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS攻撃「直撃の瞬間」映像をウクライナ側が公開

  • 3

    サプリ常用は要注意、健康的な睡眠を助ける「就寝前の適切な習慣」とは?

  • 4

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 5

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 6

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 7

    「TSMC創業者」モリス・チャンが、IBM工場の買収を視…

  • 8

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 9

    元ファーストレディの「知っている人」発言...メーガ…

  • 10

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 6

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 7

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 8

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 9

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 10

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中