最新記事

海外ドラマ

独学で学んだ英語を武器に世界に飛び込む、俳優・福士蒼汰の挑戦

A New Chapter Abroad

2023年6月16日(金)16時00分
大橋希(本誌記者)

230620p60_FKS_02.jpg

福士演じるユウト(写真左)は冷静なコンピューターエンジニア ©HULU JAPAN

キャストでは唯一の日本人。そこに気負いはなかったが、日本人であることに助けられた部分はたくさんあったと福士は言う。日本のアニメや漫画をみんなよく知っていて、「このアニメは見た」「あの漫画を読んだ」といった話題で盛り上がることも多く、そういう意味で、日本の文化がコミュニケーションの支えになったと感じた。

監督のホルヘ・ドラドはスペイン人、プロデューサーのラン・テレムはイスラエル人で、スタッフもキャストもさまざまな国から集まった。

「みんな違う国から来ていて、それぞれの当たり前が違うから、お互いを知ろうとする力がすごく働いていた。みんな自国にいるときよりちょっと優しくて、ちょっと気を使っている印象だった(笑)」

福士の演じたユウトはコンピューターエンジニア。殺人犯がいる船内で過ごすわけだが、「怯えたり怒ったりする仲間たちの中でも、ユウトは比較的冷静。普段コンピューターを相手にしているからか現実を客観視している人で、そういう部分は自分と似ていると思った」と分析する。

パソコンが得意でアニメ好きという設定が、いわゆるステレオタイプの日本人像であり、気になる視聴者もいるかもしれないが......。

「海外から見ると一番分かりやすい日本文化なんだと思う。パソコンの画面に映るアニメの少女はスペインのスタッフが用意してくれたもの。決してバカにしているわけではなく、たぶん彼らが日本のイメージとしてそれしか知らないからで、日本が世界からどう見えているのかを実感した」

演技においても新たな発見があった。少し誇張するよう要求されることもある日本と違い、海外では実際にそれをしている感覚で、と言われる。

「例えば手にライトを持って何かを探す場合、お芝居をしているときと、リアルに探し物をしているときの自分はやっぱり違う。その探し方、ライト(の動き)にパーソナルなものが出るらしいです。リアリティーを求めるお芝居のほうが、逆に自分らしさが出てくることが分かりました」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国、台湾新総統就任控え威圧強める 接続水域近くで

ワールド

米財務省、オーストリア大手銀に警告 ロシアとの取引

ビジネス

MUFG、今期純利益1兆5000億円を計画 市場予

ビジネス

焦点:マスク氏のスペースX、納入業者に支払い遅延 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少子化の本当の理由【アニメで解説】

  • 2

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダブルの「大合唱」

  • 3

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史も「韻」を踏む

  • 4

    アメリカからの武器援助を勘定に入れていない?プー…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 7

    ロシア国営企業の「赤字が止まらない」...20%も買い…

  • 8

    英供与車両から巨大な黒煙...ロシアのドローンが「貴…

  • 9

    ユーロビジョン決勝、イスラエル歌手の登場に生中継…

  • 10

    「ゼレンスキー暗殺計画」はプーチンへの「贈り物」…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 6

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中