最新記事

トラベル

「やっぱり家がいい」──旅行嫌いのための面白い旅番組とは?

Eugene Levy, Reluctant Traveler

2023年3月12日(日)10時53分
H・アラン・スコット(ライター、コメディアン)
ユージン・レビィ

「旅番組は好きでも旅はしたくない人にこそ見てもらいたい」 CHARLES SYKESーBRAVOーNBCU PHOTO BANK/GETTY IMAGES

<「旅番組を見るのは好きでも、自分は旅はしたくない」。旅行に興味はないと語る俳優ユージン・レビィが、旅番組に嫌々出演。76歳にして「一皮むけた自分にびっくり」した理由とは?>

動画配信サービス、アップルTVプラスの新しい旅行番組『旅嫌いユージン・レビィのトラベルガイド』は、まさに題名どおりの内容だ。

出演を打診されたとき、俳優であるレビィはこう思った。「私のやる仕事じゃない。旅行に興味なんてないのに」

だが、それこそが企画の意図だと知って、彼は出演を承諾した。例えば、コスタリカの熱帯雨林の夜のハイキング。「全く面白いと思わなかった。『そこのクモに気を付けて』とか。そもそもね、クモなんて遠慮したいんだよ。ホテルのバーに戻りたいってね」

フィンランドでの食事もしかり。「何を食べさせられるのか不安だった。魚はあまり好きじゃないんだ。だとすると何が残る? トナカイ?」

だがレビィはすぐに、「これまで行ったことがない場所について、行きたくないと言ってはならない」と悟る。そして「この番組のおかげで、私は一皮むけた気がする。自分で自分にびっくりだよ」とも語る。

「本当にいい経験をさせてもらったと思う。76歳にして、こういう機会を与えられて......新たな展開を目の当たりにしている感じだ」。

ライターのH・アラン・スコットが話を聞いた。

◇ ◇ ◇


――私は旅行番組が好きなわりに、旅行そのものは嫌いというタイプの人間なんですが。

まさに君みたいな人に見てもらいたいんだ。(旅慣れた視聴者には)そういう(旅嫌いによる旅番組という)ところを面白がって笑ってもらいたい。でも旅行嫌いで、自分には絶対にこんな旅行はできない、やっぱり家がいいと思っているかもしれない人に向けた番組でもあるんだ。

――そんな番組を作ろうというアイデアはどこから?

代理人から電話が来てね。アップルから話があるというんだ。電話口で私は、出たくないありとあらゆる理由を並べた。気さくに誰とでも話せるタイプじゃないし、明るい性格でもないし、好奇心にも冒険心にもあふれていない。

ところがプロデューサーが、まさにそういう番組を作りたいんだと言ってね。旅行番組だけれど、旅行はあまり好きではない人の旅を描くのだと。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロシアとの戦争、2カ月以内に重大局面 ウクライナ司

ビジネス

中国CPI、3月は0.3%上昇 3カ月連続プラスで

ワールド

イスラエル、米兵器使用で国際法違反の疑い 米政権が

ワールド

北朝鮮の金総書記、ロケット砲試射視察 今年から配備
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岸田のホンネ
特集:岸田のホンネ
2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 3

    ウクライナの水上攻撃ドローン「マグラV5」がロシア軍の上陸艇を撃破...夜間攻撃の一部始終

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    「終わりよければ全てよし」...日本の「締めくくりの…

  • 6

    「未来の女王」ベルギー・エリザベート王女がハーバー…

  • 7

    横から見れば裸...英歌手のメットガラ衣装に「カーテ…

  • 8

    「私は妊娠した」ヤリたいだけの男もたくさんいる「…

  • 9

    礼拝中の牧師を真正面から「銃撃」した男を逮捕...そ…

  • 10

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 3

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 4

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 5

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 6

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 7

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加…

  • 8

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 9

    休養学の医学博士が解説「お風呂・温泉の健康術」楽…

  • 10

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 9

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中