最新記事

音楽

スマホゲームでも快進撃のBTS ゲームとリアルの垣根を越える韓国K-POP

2019年7月22日(月)18時20分
杉本あずみ(映画配給コーディネーター)

今年のビルボードミュージックアワードでトップ・デュオ/グループ賞、トップソーシャルアーティスト賞を受賞したBTS防弾少年団 Mario Anzuoni - REUTERS

<歴史問題や半導体材料の輸出規制などで政治的には関係悪化が続く日韓だが、音楽の世界ではK-POPアイドルが日本の音楽番組に出演する一方、AKBのメンバーが韓国で活動するなど相互交流が行われている。そんななか、現在のK-POP界を牽引するグループが新たなフィールドに進出して注目されている>

今や日本の音楽界にも定着しつつあるといえる韓国のアイドルたち。K-POPを知らない人でも「BTS(防弾少年団)」の名前を目にしたことはあるのではないだろうか? 韓国や日本はもとより、欧米でも人気が高いことで有名だ。先日も南北アメリカ、欧州、日本とワールドツアーを行い、日本ではスタジアムツアー2都市4回公演で21万人を動員した。また、今年発売されたミニアルバム『MAP OF THE SOUL : PERSONA』は、米ニールセンミュージックが公開した2019年上半期の報告書によると、アメリカで最も多くパッケージ販売(ダウンロードなどは除く)されたCDアルバム部門の1位に輝いた。

BTS(防弾少年団)は、7人からなる男性アイドルグループだ。2013年に韓国でデビューし、翌年2014年に日本でも公式デビューしている。デビューから3年後の2016年にはビルボード200で韓国人アーチスト最高位となる26位にランクイン。2018年9月には第73回国連総会に出席し、世界中の若者たちへ向けた英語でのスピーチを行い話題となった。

BTSのファンたちは「Army(アーミー)」と呼ばれている。そのなかでも、インタビューや出演番組を英語などに翻訳して積極的に世界に配信している一部のファンのことを「防弾Translation」と呼んでいるそうだ。こういったファンの地道な活動が海外に人気を広げるきっかけになっていったのかもしれない。

そんな飛ぶ鳥を落とす勢いのBTS(防弾少年団)が、6月26日に彼らをモデルとしたスマートフォン用ゲームアプリ『BTS WORLD』を配信開始した。これは体験型育成シミュレーションゲームで、プレーヤーはBTSのコンサートへ行く途中、突然タイムトリップして彼らがデビューする前の2012年へ。そしてなぜか彼らのマネージャーとなって、BTSを現実のような人気グループに成長させることができるのか? というストーリー展開である。

世界的な人気グループだけあって、6月26日の配信日に世界176カ国に正式リリースされると、その後、日米を含む33カ国で無料アプリランキングの1位を獲得した。

アプリの機能としては、メインのシミュレーションゲーム以外に1万枚を超える秘蔵写真を楽しめるほか、「もしもアイドルグループに入っていなかったら何をしていたか?」というアナザーストーリーも楽しめる。また、スマートフォンでのビデオ通話やSNS風のやりとりで、メンバーとのコミュニケーションを疑似体験できるスマートフォンゲームならではの工夫もされている。

ゲームと同時期にサウンドトラックCDも発売されたが、このアルバムのメインタイトル曲は、アルバム発売までの48時間、ゲーム内でのみ鑑賞できるようになっていた。サウンドトラックをゲーム内で独占公開するなど、リアルな世界とゲームとの垣根を超えた試みを積極的に取り入れているのが分かる。


『BTS WORLD』のゲームトレーラー BTS WORLD Official / YouTube

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米PCE価格指数、3月前月比+0.3%・前年比+2

ワールド

米中外相会談、ロシア支援に米懸念表明 マイナス要因

ワールド

ベトナム国会議長、「違反行為」で辞任 国家主席解任

ビジネス

ANAHD、今期18%の営業減益予想 売上高は過去
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 3

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 4

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 5

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 6

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 7

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 8

    アカデミー賞監督の「英語スピーチ格差」を考える

  • 9

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 10

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 7

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 8

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中