最新記事

インタビュー

「東大王」紀野紗良が「もっと早く読んでおきたかった」と悔やむ1冊の本

2022年1月14日(金)10時55分
朴順梨(ライター)


最初はクイズ研究会に入ろうと思っていたので、それ以外は興味がありませんでした。でもクイ研の新歓コンパに行ったら、何人かの人が「これからAnotherVisionの新歓に行く」というので、ついていったんです。そしたらすごく面白くて。

それでAnotherVisionに加入しました。入ってみると、メンバーは自分を貫く人が多かったので、自分もぶれることなく過ごせるようになりましたし、今の友人関係や人間関係も、AnotherVision由来のものがほとんどです。

『東大王』では「閃きのスペシャリスト」と呼ばれていますが、これもAnotherVisionの謎解き制作の経験を通して学んだことが役立っています。

invu20220109-20yrsoldbook-4.jpg

Photo:遠藤 宏

地道に勉強してきたことが、本を書くきっかけに

高校2年生までバレエを続けながら東大合格を目指していた紀野さんは、いかに「限られた時間で効率よく勉強するか」を追求していた。そんな彼女は、授業で習ったことをしっかり理解して先に進むために、ノートの書き方に徹底的にこだわった。

そのこだわりの産物はSNSなどで話題になり、2021年11月、『勉強「しなきゃ」が「したい」に変わる 成績が上がる学びの習慣』(KADOKAWA)という著書を生み出すもととなった。


問題の解答だけを書いているものは処分しましたが、先生に褒められて嬉しかった中学1年の時の国語のノートなどは、今も手元にあります。ノートは記録というか、自分が頑張ってきた証しとして残しておきたいなって思っています。

ノートの画像をTwitterに上げていたら、中高生からノートの書き方についての質問が来るようになりました。1人1人に返信はできないけれど、何かの役に立てたらと思っていたところ、書籍化のお話を頂きました。

でも中1から高3まで、一貫した書き方をしてきたわけではないので、どうまとめようかと最初は悩みました。いろいろ考えた結果、私のように東大に行きたいけれど、周りに相談できる人も情報もない人たちが、諦めずに頑張るための学習術を伝える内容にしようと決めました。

大学生となった今もノートに書くことは続けているものの、2020年から授業の多くがオンラインになり、Wordに記録することがメインになったと語る。


パワーポイントやPDFのファイルで授業資料が配布され、そこに板書と同じものは書いてありますが、講義を聞いて板書を補完するものとして、メモを書いています。

授業用の資料はポイントしか書かれていないので、資料と資料のつながりがよく分からないものも多いんです。そこで資料と自分で作ったWordファイルのメモを見比べて、復習するようにしています。

3月で学部を卒業した後は、大学院に進学が決まっている。その先は「やりたいことがいろいろあって絞り切れない」と言うが、思い切って東京にやって来たこと、思い切ってテレビ番組に出演したことで、チャンスの手応えを大いに感じているそうだ。


以前は自分から前に出られず、「私はいいよ」と遠慮してしまうところがありました。でも番組に出て人と関わる機会が増えたことで、世界が広がったと実感しています。

それまではやりたいことはあっても、行動に移せないことがよくありました。「私はいいよ」という言葉を言い訳にしていたのですが、今では少しでも気になったら話を聞きに行くことができるようになったし、それを続けていきたいと思います。

この先どんな道に進むかはまだ決めていませんが、大学院に在籍している間は、私のように地方で勉強していて、周りに同じ大学を目指す人や頼れる塾がない人の支えになることをしたいなと考えています。

新版 20歳のときに知っておきたかったこと
 ――スタンフォード大学集中講義』
 ティナ・シーリグ 著
 高遠裕子 訳
 三ツ松 新 解説
 CCCメディアハウス

(※画像をクリックするとアマゾンに飛びます)

勉強「しなきゃ」が「したい」に変わる
 成績が上がる学びの習慣』
 紀野紗良 著
 KADOKAWA

(※画像をクリックするとアマゾンに飛びます)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米・イランが間接協議、域内情勢のエスカレーション回

ワールド

ベトナム共産党、国家主席にラム公安相指名 国会議長

ワールド

サウジ皇太子と米大統領補佐官、二国間協定やガザ問題

ワールド

ジョージア「スパイ法案」、大統領が拒否権発動
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    「隣のあの子」が「未来の王妃」へ...キャサリン妃の「ロイヤル大変貌」が話題に

  • 3

    「裸に安全ピンだけ」の衝撃...マイリー・サイラスの過激衣装にネット騒然

  • 4

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 5

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 6

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 7

    「すごく恥ずかしい...」オリヴィア・ロドリゴ、ライ…

  • 8

    時速160キロで走行...制御失ったテスラが宙を舞い、4…

  • 9

    日本とはどこが違う? 韓国ドラマのオリジナルサウン…

  • 10

    中国の文化人・エリート層が「自由と文化」を求め日…

  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 3

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 6

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 9

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 10

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中