最新記事

対談

日本の若者がシリアルアントレプレナーを目指すべき理由【箕輪×正田】

2018年2月20日(火)15時58分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

booktalk180220-2.jpg

箕輪厚介(みのわ・こうすけ)/幻冬舎の編集者。2010年に双葉社入社、広告営業やイベント運営などに携わった後、編集部に異動。2015年に幻冬舎に移り、編集者として働きながら、東洋経済オンラインやアドタイで自身のコラムを持ち、オンラインサロンの運営、堀江貴文大学校で特任教授も務める。2017年10月、自身の会社として波の上商店を設立。2018年1月末、CAMPFIREと幻冬舎の共同出資会社、エクソダスの取締役に就任する。

箕輪 今は会社を売ったら「うらやましい、いくらで?」という感じですね。ネガティブなイメージは、僕ら世代にはない。起業家界隈では、会社を売ることがゴールの1つになっています。

正田 とはいえ、それはまだ起業家とか、箕輪さんのように感度の高い層に限った話です。世間一般では、会社を売るなんて「おっかないこと」。

よく学生が起業しようというとき、どこでつまづくかというと、親の反対なんですね。学校を休学するなんてとんでもない、実家に帰ってきなさいと言われたりする。学生起業家はだいたい、住民票を実家に置いています。事業がうまくいかなくなると、実家に内容証明郵便が届いて、親がヒステリーを起こす、みたいな。

箕輪 これまでは、会社と人生というものがあまりに強くリンクしていたと思うんですね。サラリーマンにとっては社長や上司が親代わり。会社をやめるといったら裏切り者扱いでした。起業家は「会社は自分の子供」という価値観。

でも、ここのところ急激に、そういう感覚が実態と離れてきた気がします。会社を親と思っているサラリーマンはいないし、起業家も「会社を売ってもいいじゃないか」と。

まあ、サラリーマンの場合は、会社が社員の人生を最後まで面倒見るという、終身雇用の前提が崩れているせいもあるんでしょう。社員の好きにさせて、お互いWin-Winの契約を結べる場所にならないと、優秀な人材も集まりません。

正田 確かに、いま「朝9時出社、5時に帰れ」と言った瞬間、優秀なやつは寄ってこなくなるでしょうね。

箕輪 会社に人材をつなぎ止めようとしても、そのコストが半端じゃないでしょう。研修したりビジョンを語ったり、福利厚生を整えたり。それだったら、魅力的なプロジェクトを立ち上げて、そのプロジェクトごとにすごい人を集めたほうがいいし、会社も人も成長します。

正田 箕輪さんは、自分の会社(合同会社波の上商店)では何を?

箕輪 目的はなかったんですよ。オンラインサロンなどの収益を入れる財布代わり。いきなりお小遣いレベルではない収益が上がってしまったので、「法人にしないと税金がヤバイですよ」と周りに言われて。ただ、経沢さん(香保子、トレンダーズ創業者、キッズライン代表)に言われたのは、「みんな最初はそう言うけど、器ができると勝手に大きくなるから」。

で、実際そうなんですね。ものすごい勢いでビジネスアイデアも思いついてしまうし、それがカタチになっていくし、優秀な人も集まってくる。会社のホームページも周りが勝手に作って、どんどん充実していって、問い合わせも入ります。ほっておいたら自分の会社の仕事はとんでもないほどに増えちゃうかもしれない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

パラマウント、スカイダンスとの協議打ち切り観測 独

ワールド

米石油・ガス掘削リグ稼働数、22年1月以来の低水準

ワールド

アングル:コロナの次は熱波、比で再びオンライン授業

ワールド

アングル:五輪前に取り締まり強化、人であふれかえる
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 2

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS攻撃「直撃の瞬間」映像をウクライナ側が公開

  • 3

    サプリ常用は要注意、健康的な睡眠を助ける「就寝前の適切な習慣」とは?

  • 4

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 5

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 6

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 7

    「TSMC創業者」モリス・チャンが、IBM工場の買収を視…

  • 8

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 9

    元ファーストレディの「知っている人」発言...メーガ…

  • 10

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 6

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 7

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 8

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 9

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 10

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中