最新記事
日本株

日経平均4万円、物色のすそ野拡大カギ NT倍率に着目

2024年2月28日(水)10時42分

2月27日、日経平均株価が3日連続で史上最高値を更新し、大台の4万円トライが視野に入ってきた。東京都内で22日撮影(2024年 ロイター/Issei Kato)

日経平均株価が3日連続で史上最高値を更新し、大台の4万円トライが視野に入ってきた。一方で、短期的には一段高の材料が不足している、との声も聞かれる。株高を牽引してきた半導体関連株の上昇が一服する中、今後は、出遅れ銘柄群へ物色が広がるかがカギとなる。NT倍率(日経平均をTOPIXで割った数値)が低下しながら相場の上昇基調が維持されれば強気論が一層広がりそうだ。

 

<ハイテク主導に一服感>

先週発表された米エヌビディアの好決算を受けて、日経平均は27日、大台の4万円まであと500円余りに接近した。一方、牽引役の半導体関連株には買い一服感も意識される。

東京エレクトロンが0.7%高と伸び悩み、アドバンテストは2.1%安とマイナスで取引を終えた。いったん利益を確定する動きが上値を抑えたとみられ、けん引役が足踏みとなり「4万円は近くて遠い印象だ」(国内証券のストラテジスト)との声も漏れる。

日経平均は大引けにかけてプラスを回復するなど、投資家の買い意欲の強さもうかがえる。ただ、短期的な過熱感への懸念も根強い。

日経平均と25日移動平均線(3万7168円14銭=27日)の乖離率は5.57%と買われすぎが意識される5%を上回る。一時に比べ低下したものの依然として高く「高値警戒感から上値は追いにくい」(野村証券・ストラテジスト、澤田麻希氏)という。

<出遅れTOPIXの動向>

日経平均の4万円トライの条件として関心を持たれているのが、TOPIXの出遅れ挽回だ。「今回の株高は半導体関連を中心に一部の銘柄がけん引した印象が強い。今後は、物色のすそ野が広がり、出遅れ感のある銘柄が相場を底上げしていくと考えられる」と岩井コスモ証券の投資調査部部長・有沢正一氏はみている。

日経平均が連日、史上最高値を更新し続けている一方、TOPIXは史上最高値2886.50ポイントまで、まだ200ポイント程度の距離がある。

日経平均が、東京エレクトロンやアドバンテストなど寄与度の大きな銘柄の値動きに左右されやすいのに比べ、TOPIXは偏りが少ない。半導体株高が一服となる中でTOPIXが上昇するようなら「出遅れ銘柄が下値を支える健全な循環物色として、次の一段高への思惑につながりやすい」(国内運用会社・ポートフォリオマネージャー)との声もある。

市場関係者が目線の一つとして注目するのが、NT倍率だ。松井証券のシニアマーケットアナリスト・窪田朋一郎氏氏は「4月にかけて日銀のマイナス金利解除観測が高まり、(株式市場も)弱含む可能性はあるものの、足元では銀行株などが買われバリュー(割安)株のパフォーマンスもしっかりしてきている」と指摘する。TOPIXの出遅れが解消されれば、NT倍率の低下が見込まれる。

足元のNT倍率は14.6倍。「物色がバリュー株にも広がってTOPIXが足元から200ポイント上昇しながらNT倍率が14倍程度まで低下する場合、日経平均は足元の3万9000円近辺から2800円高い4万2000円近辺まで上昇する可能性があるだろう」(三菱UFJアセットマネジメントのチーフファンドマネジャー・石金淳氏)との見方が聞かれる。

出遅れ銘柄の対象としては、政策保有株の多い企業が注目されており「オリエンタルランドの筆頭株主の京成電鉄など、政策保有株の売却の思惑が出やすい企業が挙げられるだろう」(フィリップ証券のアナリスト・笹木和弘氏)との指摘があった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米金融当局、銀行規制強化案を再考 資本上積み半減も

ワールド

北朝鮮、核抑止態勢向上へ 米の臨界前核実験受け=K

ワールド

イラン大統領と外相搭乗のヘリが山中で不時着、安否不

ワールド

米・イランが間接協議、域内情勢のエスカレーション回
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「隣のあの子」が「未来の王妃」へ...キャサリン妃の「ロイヤル大変貌」が話題に

  • 2

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 3

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイジェリアの少年」...経験した偏見と苦難、そして現在の夢

  • 4

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 5

    「裸に安全ピンだけ」の衝撃...マイリー・サイラスの…

  • 6

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 7

    「すごく恥ずかしい...」オリヴィア・ロドリゴ、ライ…

  • 8

    米誌映画担当、今年一番気に入った映画のシーンは『…

  • 9

    中国の文化人・エリート層が「自由と文化」を求め日…

  • 10

    日本とはどこが違う? 韓国ドラマのオリジナルサウン…

  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 3

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 6

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 9

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 10

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中