米自動車労組、GMと最高賃金33%引き上げなどで暫定合意 3大自動車メーカーとの一斉スト終了へ
米自動車大手ゼネラルモーターズと全米自動車労働組合(UAW)は、労使交渉が暫定的な合意に達したと表明した。これにより、史上初となる米3大自動車メーカーに対するUAWによる一斉ストライキは事実上終結した。写真はデトロイトで2021年3月撮影(2023年 ロイター/Rebecca Cook)
米自動車大手ゼネラルモーターズと全米自動車労働組合(UAW)は30日、労使交渉が暫定的な合意に達したと表明した。これにより、史上初となる米3大自動車メーカー(ビッグ3)に対するUAWによる一斉ストライキは事実上終結した。
UAW執行部は29日、米フォード・モーターと暫定合意した労働協約を承認。28日にはクライスラーの親会社であるステランティスとも労使交渉で合意に達していた。
UAWは、フォードとステランティスと合意した賃上げとほぼ同等の条件をGMからも勝ち取った。熟練労働者の最高賃金が33%引き上げられるほか、GMは新労働契約に基づき、退職者に2500ドルの一時金を支払う。
UAWのフェイン会長は30日、「われわれのストライキはGMから最後の一銭まで搾り取ったと心から信じている。彼らはわれわれを過小評価していた。これらの企業は何が待ち受けているのか全く想像していなかった」とビデオ演説で語った。
また、UAWはビッグ3に対するストを正式に停止したと述べた。全ての組合員による契約承認に向け、UAWの地域幹部が11月3日にデトロイトを訪問し、GMとの合意内容を検討する。
9月15日から始まったビッグ3に対する一連のストには3社の組合員約15万人のうち最終的に5万人近くが参加した。
UAWによると、GMの従業員はストを終了し、職場に復帰する。
GMのメアリー・バーラ最高経営責任者(CEO)は「UAWと暫定合意に達したことを喜ばしく思う。チームの貢献を反映するものであると同時に、われわれが将来への投資を継続し、米国で良質な雇用を提供することを可能にするものだ」と述べた。
バイデン米大統領は30日、暫定合意を「素晴らしい」と称賛した。
複数の関係筋によると、新たな労働契約により、GMの人件費は向こう4年半で70億ドル増加する見通し。コックス・オートモーティブのチーフエコノミスト、ジョナサン・スモーク氏は「消費者がコストの一部を負担することになる」と指摘。ただ「コストを完全に転嫁するのは容易でないため、自動車メーカーは効率化を図るか、人件費の上昇を吸収できる高価格車種に生産を限定せざるを得なくなる」との見方を示した。
ビッグ3はUAWの要求についてコストの大幅増につながり、米電気自動車(EV)大手テスラやトヨタ自動車などと比較して不利な立場に立たされると主張したが、UAWはGMとの暫定合意に先立ち、ソーシャルメディアへの投稿で、2028年の労使交渉では「ビッグ5またはビッグ6」の間で行われることを望んでいるとし、交渉拡大にコミットしているとしていた。