最新記事

日本社会

展望2022・日本企業 女性活躍「勝負の年」、コロナで働き方に柔軟性

2021年12月30日(木)13時06分
オフィスへ急ぐ人々の足元

人材紹介などを通じて女性経営者を支援するコラボラボ(東京都千代田区)の横田響子代表はロイターとのインタビューで、新型コロナウイルス禍で働き方が多様化したことは、女性が社会で活躍する上で「大きな追い風」と語った。2019年6月、都内で撮影(2021年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

人材紹介などを通じて女性経営者を支援するコラボラボ(東京都千代田区)の横田響子代表は、ロイターとのインタビューで、新型コロナウイルス禍で働き方が多様化したことは、女性が社会で活躍する上で「大きな追い風」と語った。2022年は企業や政府がこの2年で培った教訓をいかに生かせるかが試される「勝負の年になる」とした。

東証の市場再編が後押し

横田代表は21年を振り返り、テレワークや副業など働き方の変化や男性の家事労働参加が女性活躍に貢献したと説明。一つの例として、「リモートワークにより男性の飲み会で物事が決まることがなくなり、男女の差が少なくなった」ことを挙げた。

東京商工リサーチによると、同年の女性社長数は過去最高となる54万0919人で、前回調査の19年から13.0%増加した。

横田代表は、女性が活躍する場をさらに拡大させるためには、企業や政府がコロナ収束後も「働き方の選択肢を持ち続けられるか、柔軟性を許容できる仕組みを整えられるかが大事」だと語った。

今後も社員が出社かテレワークかなどの働き方を選択できる制度の構築・整備に取り組むべきだとしている。

横田代表はまた、22年4月の東京証券取引所の市場再編が企業の女性登用を後押ししていると指摘。東証は再編に先立ち、コーポレートガバナンスコードを改訂し、管理職の多様性確保や独立社外取締役の人数基準などを追加・厳格化した。

横田代表は「(再編により)市場選択を意識的に行ったことで企業姿勢が明確となる」とし、ただ単に数値目標を満たすための多様性の確保ではなく、社内の活性化を促すことを目的とした女性役員の登用に積極的な企業も見受けられると述べた。

根深く残る構造的問題

一方で、年功序列や年次主義の仕組みなどは根強く、女性の活躍を阻害しかねない構造的問題の改善にまでは至っていないとした。

来年以降はプロジェクト単位での働き方や日本型ジョブ型雇用への移行、副業や兼業などの観点から、今までの労働システムを見直すことが求められるとの考えを示した。

(新田裕貴 編集:久保信博)

*インタビューは12月20日に実施しました。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・中国人富裕層が感じる「日本の観光業」への本音 コロナ禍の今、彼らは何を思うのか
・世界の引っ越したい国人気ランキング、日本は2位、1位は...


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

円安、輸入価格上昇通じて実質所得下げる影響=植田日

ビジネス

原油価格や為替の今後の動きを注視と植田日銀総裁、実

ビジネス

午前の日経平均は反発、前日安の反動 個別物色が活発

ワールド

タイ首相、大麻を年内に規制薬物指定する方針表明 解
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岸田のホンネ
特集:岸田のホンネ
2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必要な「プライベートジェット三昧」に非難の嵐

  • 3

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 4

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 5

    「自然は残酷だ...」動物園でクマがカモの親子を捕食…

  • 6

    この夏流行?新型コロナウイルスの変異ウイルス「FLi…

  • 7

    休養学の医学博士が解説「お風呂・温泉の健康術」楽…

  • 8

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...…

  • 9

    ロシア軍兵舎の不条理大量殺人、士気低下の果ての狂気

  • 10

    いま買うべきは日本株か、アメリカ株か? 4つの「グ…

  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 3

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 4

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 5

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 6

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 7

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 8

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...…

  • 9

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 10

    サプリ常用は要注意、健康的な睡眠を助ける「就寝前…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中