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日米関係
属国か対等か
長年の従属外交を脱して
「ノー」といえる関係へ
「対等な関係」という現実主義
だが、日米関係を大きく変える要因はほかにある。アジア諸国との協調と同地域でのリーダーシップを重視する民主党の姿勢だ。とはいえアメリカは、日本がアジアを選んだと誤解してはならない。
岡田が9月2日、あるシンポジウムで語ったように「アメリカか中国かという議論があるが、それは小さな議論」だ。日本は安全保障の最も重要なパートナーと経済面で最も重要なパートナーのどちらかを選ぶことも、どちらかに過剰に依存することもできない。
対米関係と対中関係の両立は、今後数十年にわたって日本の指導者に課される重大な任務になるだろう。だからこそ日本は今、「普通の国」の政治的リーダーシップを必要としている。
ミドルパワーとして生きる道
慶応義塾大学教授で政治学者の添谷芳秀の言葉を借りれば、民主党の姿勢は「ミドルパワー」的現実主義といえるかもしれない。
アメリカと中国が巨大な存在感を持つアジア地域に位置する日本は今後、オーストラリアや韓国と同様、自国の行動の自由を最大化しようと努めるだろう。しかし、アメリカに心配は無用だ。民主党はより健全で建設的な対中関係を望んでいるが、アジアにおける中国の一極支配を懸念する点では彼らもアメリカと変わらない。
日米が協力する道は安全保障以外にも多くある。オバマ政権は、流動性の高い同盟関係を目指す鳩山政権の方針にあらがうのではなく、受け入れるべきだ。自立の度合いを高めてこそ、日本はアジア地域での平和の維持に大きく貢献することができる。
言うまでもなく、民主党的現実主義は経済の立て直しにも目を向けている。日本の国際的な地位向上の鍵が経済発展にあることを見抜いた吉田茂元首相と同じく、民主党はある事実にうすうす気付いている。日本経済が輸出主導を脱し、労働者や高齢者のためのセーフティーネットを充実させ、国債頼みの経済構造を変えない限り、日本はアジアでも世界でも指導的役割を果たせないままだ、と。
結論を言えば、日本には政治的リーダーシップが不可欠だ。国民の生活を守るためにも、国際社会で影響力を発揮するためにも。
[2009年9月30日号掲載]