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NYが見棄てる中南米移民の砦

NO MAN’S LAND OF WILLETS POINT

Photographs by Jaime Permuth

NYが見棄てる中南米移民の砦

NO MAN’S LAND OF WILLETS POINT

Photographs by Jaime Permuth

路上で自動車修理の客待ちをするプエルトリコ出身のホセ・クルズ・サンチアゴ

 マンハッタンの東に位置するクイーンズの片隅に、発展から完全に取り残された一角がある。ラガーディア空港に程近いウィレッツ・ポイント地区。グアテマラ出身の写真家ハイメ・ペルムスは、生きるためなら何でもする第3世界的な空気と大都会の消費文化が入り交じるこの「忘れられた街」の日常を撮り続けてきた。

 穴だらけの道沿いに崩れそうな家屋が立ち並ぶ一帯では、中南米出身の貧しい移民たちが自動車修理や車のスクラップ業で生計を立てている。だがニューヨーク市は40年以上にわたって、この地域の下水道敷設や道路整備を拒んできた。

 理由は、この一帯を舞台にした再開発計画が進行中だから。すぐ脇に立つニューヨーク・メッツの本拠地シティ・フィールド・スタジアムが8億ドル以上の公費をかけて建設された09年以降、市当局はウィレッツ・ポイントの住民への立ち退き圧力を一段と強めている。今年3月にはハイウエーの進入口新設という最大の関門についても、連邦政府当局の許可を取り付けた。

 行き場を失う250の零細スクラップ業者の未来とともに、ウィレッツ・ポイントは地図から姿を消そうとしている。

Photographs by Jaime Permuth

*本誌2012年5月23日号掲載したこの作品が写真集になりました。
「Yonkeros」 ハイメ・ペルムス (ラファブリカ・エディトリアル社刊) 

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