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難民の旅の悲惨な終着点リビア
Photographs by MOISES SAMAN
難民の旅の悲惨な終着点リビア
Photographs by MOISES SAMAN
アフリカから欧州を目指す難民の波は今も絶えない。サハラ砂漠以南や北アフリカをくぐり抜けた彼らの過酷な旅は最後に、最も危険な場所にたどり着く。地中海への玄関口リビアだ。
内政の混乱が続くリビアを支配するのは民兵組織の寄せ集め。彼らは密航業者の人身売買に加担し、移民・難民への虐待や人権侵害を行っているとされる。
首都トリポリでは密航を待つ大勢の男女や子供が隠れ家などから追い立てられ、移民・難民収容所に送り込まれていく。シッカ通りの施設では、不衛生な倉庫に男性約1500人が閉じ込められている。トイレもシャワーもなく、用を足すのは空のペットボトルかビニール袋だ。
4月のある夜、私はリビア沿岸警備隊の夜間巡回に同行した。司令官アブドゥルラーマン・アル・ビジャはゴムボートに乗った難民を「救助」と称して逮捕し、収容所に引き渡すのが任務だ。この夜はボート2隻を発見。銃撃戦の末に一方のボートにいた密航業者は全員殺された。
時に善と悪、善人と悪人の境界はあやふやになるものだが、その境界がリビアほど曖昧な場所はない。
Photographs by Moises Saman-Magnum Photos Tokyo
撮影:モイセス・サマン
1974年、ペルーのリマ生まれ。米カリフォルニア州立大学でコミュニケーション社会学を学ぶ。米新聞社でスタッフ・フォトグラファーとして中東などの紛争を取材し、2007年からフリーランス。世界的写真家集団マグナム・フォト会員。近著にアラブの春をテーマとした写真集『ディスコーディア』がある
[2017年7月11日号掲載]
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