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イタリア農業は高級化で生き残る

LANDSCAPE OF TASTE

Photographs by Pietro Paolini

イタリア農業は高級化で生き残る

LANDSCAPE OF TASTE

Photographs by Pietro Paolini

ピエモンテ州では標高2000メートルのアルプスの牧草地で育った牛から作るチーズが有名。なかでも「カステルマーニョ」はイタリア産チーズで最初にDOP(保護指定原産地呼称)に認定された

 2国間や域内の関税を撤廃する自由貿易圏が世界的に広がるなか、他国の安価な製品から自国産業をどう守るべきか、多くの国が頭を悩ませている。TPP(環太平洋経済連携協定)への参加が決まった日本にとっても、農業の競争力強化は死活問題。その点、イタリアが進めてきた高級路線へのシフトは1つのヒントになるかもしれない。

 昔から農業国として知られるイタリアは今や、ヨーロッパ随一の高級食材の生産地でもある。ワインやチーズ、野菜、海産物など各地域の特産品の品質を高める工夫を重ねることで差別化に成功し、国際的な価格競争に負けないブランド価値を維持している。産地や製法についての細かい規定を満たした製品だけに付与されるDOP(保護指定原産地呼称)など、EU(欧州連合)の「お墨付き」を得た製品も数多くある。

 品質向上の取り組みの中でも特に力を入れてきたのが、化学肥料などを使わない有機農業への転換だ。今ではイタリア国内の耕作地のうち約8%の110万ヘクタールで有機農業が行われており、有機農家の数は欧州最多の4万8000以上。恵まれた気候と肥沃な土壌を武器に、生き残りを懸けた農家の努力は日々続いている。

Photographs by Pietro Paolini-TerraProject

<本誌2013年5月28日号掲載>

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