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豊饒の地をむしばむ 環境汚染の呪縛

Richland

Photographs by Gustavo Jononovich

豊饒の地をむしばむ 環境汚染の呪縛

Richland

Photographs by Gustavo Jononovich

金とダイヤモンドを探査するために木々が伐採されたベネズエラのサンタ・エレナ・デ・ウアイレン周辺の土地

 人類が製造し、消費するものは、本をただせばすべて天然資源から造られている。そして、こうした製品に支えられた現代的な生活や社会の発展の代償として、人類は自然環境を自分勝手に変化させてきた。

 写真家のグスタボ・ホノノビッチは、中南米における天然資源の採掘と、その結果引き起こされる長期にわたる悪影響を追うプロジェクトを続けてきた。時にその影響は、現地の自然環境だけでなく、そこで暮らす人々の生命にまで及ぶ。「環境破壊については、その原因となる企業が批判の対象になってきた」と、ホノノビッチは言う。だが、企業がすべて悪いわけではないと彼は考えている。「私たちも、そうして造られた製品を使っているからだ」。

08〜12年にかけて7カ国で撮影された彼の写真から見えてくるのは、資源利用が人類にもたらすのは恩恵や富だけではないということだ。採掘や開拓が行われる現場に暮らす人々は、生活や健康問題、人権侵害、そして自然環境の破壊という大きな被害を被っている。

 ホノノビッチの最終目的は「私たちの消費行動と産業経済が中南米諸国にどんな影響を与えているかを示すこと」。「リッチランド」というプロジェクト名にも皮肉を込めた。これは豊富な資源が眠る中南米の土地を意味しているが、現地の人々にとって資源は天の恵みであると同時に、彼らの生活を破壊する呪われた宝でもある。

Photographs by Gustavo Jononovich

<2013年4月2日号掲載>

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