コラム

東方神起、活動休止に、「キムチ」批判

2010年04月09日(金)11時30分

 3日、日本の所属事務所エイベックスより、東方神起の活動休止が発表された。

 やはり。

 去年の紅白出演直後に出た解散説以降、1月に予定してたファンミーティングも中止、今年に入って5 人での活動は日本でも一切なかった。

 2月にはその予兆とも取れる出来事も。エイベックスは、韓国での東方神起の所属事務所、SMエンターテイメント(以下SM)の大株主。韓国での活動休止中、彼らの活動を全面的にサポートしてきたエイベックスが、SMの持ち株すべてを韓国国内の企業に譲渡したと、SMの会長イ・スマン氏が明かしたのだ。SMとの業務提携を終了するのではないかとの憶測に、日本での5人の活動も行われなくなるのでは?と、ファンの間では不安が高まっていたという。

 今回の発表で、韓国側の反応はというと、所属事務所からの公式な発表はない。去年の7月、メンバー3人(ジェジュン、ジュンス、ユチョン)が訴訟を起こしてから、韓国ではすでに活動休止状態だった事を考えると当然とも言うべきか。韓国歌謡界では、今回の日本での活動休止の決定を、東方神起の解散を公式に宣言したも同然と考えているようだ。訴訟メンバー3人の日本での活動が決定していることで、日本では、3人一緒に活動することもあるのでは?とも考えられている。

 韓国歌謡界では、アイドルたちの危機とも。
東方神起の成功の裏には、彼らの甘んじる事のない努力も当然の事ながら、他の芸能企画社には真似できないSMならではの巨大な資金力と企画力、国内外のネットワークがあってこそと考えられている。また、MVやライブ、衣装やファンクラブに至るまで、様々な分野で最高のクオリティーを保つためには、途方もない投資と労力が必要となり、失敗すれば借金が残るばかり。それを回収すべくSMでさえも、10年以上にも及ぶ長期専属契約をせざるを得ないという状況(これに、奴隷契約だと反旗を翻したのが、そもそもの始まり)。今回の事実上の解散で、今後、東方神起のように、まともに投資してアイドルを育成する企画社が出てくるか、危惧されているというのだ。一時凌ぎの人気で儲けるだけ儲け、まともな投資や企画をしない会社も増えているという。

 そして、悪いことは続くもの。

 ジェジュンが、「キムチ」を日本式で発音し、ネットで袋叩きに合っているというのだ。日本での雑誌のグラビア撮影の様子をテレビ番組が放送。そこで、写真を撮るときの掛け声、「キムチ」を、kimuchiと発音してしまったのだ。韓国式の発音ではkimchi。そんな些細なこと。が、韓国人にとっては、笑って済ませる話ではないという。同じく日本で活動していたボアやセブンが、kimuchiと発音する日本人たちに、正しくはkimchiと直していた事もあり、対照的な姿だと比較されている。

 キムチで思い出すのが、去年の8月、「私の頭の中の消しゴム」で知られる俳優チョン・ウソンが、日本のTV番組の中で、同じく「kimuchi」と表記し、批判が起こった(彼は後に、公式に謝罪している)。

 元来、日韓関係に敏感な韓国人。韓国の代名詞とも言える「キムチ」だけに、チェジュンの行動にも"ただの浅はかな行動とやり過ごすことが出来ない"、"日本で活動するからといっても、直すべきものは直さなければ"、"ならば、独島も竹島と呼ぶのか?"などと、批判が相次いだという。

 活動休止の発表から1週間。ここへきて、ジェジュン、ジュンス、ユチョンの3人でCM撮影を行ったという話も聞こえてきた。やはり、3対2の溝は埋まらないということか・・・。


――編集部・川崎寿子

このブログの他の記事も読む

プロフィール

ニューズウィーク日本版編集部

ニューズウィーク日本版は1986年に創刊。世界情勢からビジネス、カルチャーまで、日本メディアにはないワールドワイドな視点でニュースを読み解きます。編集部ブログでは編集部員の声をお届けします。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

新型ミサイルのウクライナ攻撃、西側への警告とロシア

ワールド

独新財務相、財政規律改革は「緩やかで的絞ったものに

ワールド

米共和党の州知事、州投資機関に中国資産の早期売却命

ビジネス

米、ロシアのガスプロムバンクに新たな制裁 サハリン
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでいない」の証言...「不都合な真実」見てしまった軍人の運命
  • 4
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 5
    プーチンはもう2週間行方不明!? クレムリン公式「動…
  • 6
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 7
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 8
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 9
    巨大隕石の衝突が「生命を進化」させた? 地球史初期…
  • 10
    バカげた閣僚人事にも「トランプの賢さ」が見える...…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 5
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 6
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 7
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 8
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 9
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 10
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story