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ニューズウィーク日本版編集部 From the Newsroom
普天間移設先の新・有力案はパクリ?
普天間の移設先にまた新たな案が浮上した。沖縄本島中部うるま市の東海岸から太平洋に突き出した、米軍ホワイトビーチがある勝連半島(与勝半島)の沖合に巨大施設を造り、普天間飛行場の機能と那覇空港に駐屯している航空自衛隊のF15戦闘機部隊を移すというものだ。
平野博文官房長官はこの案を「自分の案」だと説明しているらしいが、どちらかというと「パクリ」に近い。05年に当時大阪大学大学院の助教授だったロバート・エルドリッジが提案したものと酷似しているからだ。エルドリッジの案は、勝連半島の沖合に大規模施設を作り、那覇空港の航空自衛隊および米軍嘉手納基地のF15部隊を移して自衛隊管理下の基地にする、などを盛り込んだものだったが、結局06年の日米合意には反映されなかった。
現在、エルドリッジは在沖米海兵隊外交政策部(G5)の次長を務めており、大阪大大学院時代前に在沖海兵隊の顧問を務めたこともある。そんな経歴をもつ人物が考案したプランをベースにしているだけに一見、海兵隊の理解も得られそうにも思えるが、平野が思っているほど「一番ベター」な案かどうかは微妙だ。
地元のうるま市が反対しているだけではない。勝連沖案は海兵隊だけでなく、自衛隊を巻き込む構想なだけに、調整がさらにややこしくなるだろう。また、環境への負荷が現行案より軽いとされているが、本当だろうか。
仮に自衛隊のF15戦闘機部隊などとも共用する施設を作るとなると、大規模な滑走路の建設が必要となる。1020ヘクタールの人工島を造る構想らしいが、事実だとすれば羽田空港と同じくらいの面積になる。これでは、素人目に見ても環境への負荷が軽減されるとは思えない。また、これほどの大規模な代替施設の建設が、06年の合意で定められている2014年の期限までに間に合うのか、疑問は尽きない。
そもそも、エルドリッジ氏がこの案を出したのも沖縄の基地問題で「包括的で長期的な解決策」を見出すためのもので、「大手術」が必要だという考えがあるから。これほど壮大な構想を、鳩山政権が設定した5月末の期限までに必要な調整を済ませようとするのは無謀とも思えるのだが......。
──編集部・横田 孝
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