ロシアが北方領土に最新鋭ミサイルを配備 領土交渉への影響は
バール地対艦ミサイル・システム Defence Industry/YouTube
<来月半ばに日ロ首脳会談を控えた今、択捉島と国後島に最新鋭の地対艦ミサイルを配備したロシアの狙いを読み解く>
北方領土に最新鋭ミサイルを配備
11月22日、ロシア太平洋艦隊の機関紙『ヴォエバヤ・ヴァーフタ(戦闘当直)』は、千島列島の択捉島で最新鋭の地対艦ミサイル「バスチョン」が実戦配備に就いており、国後島にも同じく新型の地対艦ミサイル「バール」が移送されてきたと明らかにした。
国後及び択捉といえば、現在の日露関係において焦点となっている北方領土の一部であり、しかもプーチン大統領の訪問を前にして、領土交渉の今後が大きく期待されてもいる。こうした中で北方領土に配備されたこれらのミサイルはどのようなものなのか、従来と比べてどの程度の変化となるのか、そしてロシア側の狙いは何であるのか。本稿ではこれらの点について考えてみたい。
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「城塞」と「舞踏会」
まずは配備されたミサイルそのものについて簡単に触れておこう。
択捉島に配備されたバスチョンというのは「城塞」の意味で、移動式の発射装置からP-800「ヤホント」超音速巡航ミサイルを発射できる。本来は敵の艦船を攻撃することを目的としたミサイルだが、今月半ばにロシアがシリア空爆を再開した際には、同じバスチョンをシリアに展開させ、対地攻撃モードで発射したことが知られている。射程は飛行モードによって異なるものの(超低空飛行を行うかどうかなど)、最大で300kmに達する。
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一方のバール(舞踏会)は同じく移動式の地対艦ミサイル・システムだが、発射されるKh-35ミサイルは音速以下の速度で飛行し、射程も130km程度と性格が大きく異なる。当然、ミサイルはより軽く小さく済むため、比較的多数を配備しやすい(たとえばバスチョンだと移動式発射機1両に搭載できるミサイルは2-3発(通常は2発)だが、バールは8発も搭載できる)。
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それにしてもミサイルに「舞踏会」とは変わったネーミングだが、ロシア語には「状況があまりにもめまぐるしく変わる」という意味で「船を降りたら舞踏会に出る」という言い回しがあるので、それに引っ掛けたのかもしれない。
国後島への対艦ミサイル配備は初
では、両ミサイルの配備は、どれだけのインパクトを持つものなのだろうか。
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