コラム

ウクライナ戦争で高まる日本の核武装論の前に議論すべきこと

2022年03月19日(土)15時30分

ビジネスでは、アメリカ人も中国人もインド人も新機軸を求めて競争しているのに、日本人の多くにその気概はない。「会社」の中で給料をもらい、休暇を消化することばかり考えている。経済力は国の安全保障の土台なのに、これではおぼつかない。

明治維新以来150年余り、日本は近代国家を動かす体制をまだ整備できていない。中国の科挙(官吏登用試験)に倣って世界に冠たる官僚組織をつくったのはいいが、それを動かして政治をする政治家の多くがしっかりしていない。

官僚も(自分もそうだったが)社会から遊離している上に、この頃は省益ばかり考える。国家は人間のつくったものだから倒れることもあるという当たり前のことが頭に刷り込まれていないから、国に寄生して私利を図って恥じない者すらいる。

プーチンは有言実行の人物で今は核使用の準備をしているようだ。「ロシアのいない世界など要らない」と言い切る狂気が、彼にはある。

それにくみする中国や、花火のようにミサイルを打ち上げる北朝鮮が日本の隣にはいる。なんとかしたいが、まずは思考停止を脱することだろう。

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プロフィール

河東哲夫

(かわとう・あきお)外交アナリスト。
外交官としてロシア公使、ウズベキスタン大使などを歴任。メールマガジン『文明の万華鏡』を主宰。著書に『米・中・ロシア 虚像に怯えるな』(草思社)など。最新刊は『日本がウクライナになる日』(CCCメディアハウス)  <筆者の過去記事一覧はこちら

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